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  1. 奈良県議会 2010-11-01
    12月09日-05号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成22年 11月 定例会(第300回) 平成二十二年        第三百回定例奈良県議会会議録 第五号 十一月   平成二十二年十二月九日(木曜日)午後一時二分開議   --------------------------------         出席議員(四十四名)       一番 小林茂樹          二番 藤井 守       三番 井岡正徳          四番 岡 史朗       五番 大国正博          六番 尾崎充典       七番 藤野良次          八番 森山賀文       九番 松尾勇臣         一〇番 宮本次郎      一一番 浅川清仁         一二番 田中惟允      一三番 上田 悟         一四番 山本進章      一五番 畭 真夕美        一六番 奥山博康      一七番 森川喜之         一八番 高柳忠夫      一九番 中野明美         二〇番 山村幸穂      二一番 中野雅史         二二番 神田加津代      二三番 安井宏一         二四番 岩田国夫      二五番 荻田義雄         二六番 粒谷友示      二七番 丸野智彦         二八番 岩城 明      二九番 藤本昭広         三〇番 今井光子      三一番 田中美智子        三二番 国中憲治      三三番 辻本黎士         三四番 米田忠則      三五番 新谷紘一         三六番 出口武男      三七番 中村 昭         三八番 秋本登志嗣      三九番 小泉米造         四〇番 服部恵竜      四一番 田尻 匠         四二番 山下 力      四三番 梶川虔二         四四番 川口正志   --------------------------------         議事日程一、当局に対する一般質問一、建設委員会の委員長、副委員長の辞職及び同選任一、追加議案の上程   -------------------------------- ○議長(出口武男) これより本日の会議を開きます。   -------------------------------- ○議長(出口武男) この際、お諮りします。 建設委員会の委員長、副委員長の辞職及び同選任、並びに追加議案の上程を本日の日程に追加することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、さように決します。   -------------------------------- ○議長(出口武男) 次に、十一番浅川清仁議員から建設委員会委員長の辞職願が、三十二番国中憲治議員から建設委員会副委員長の辞職願が提出されましたので、その許可の件を議題とします。 お諮りします。 十一番浅川清仁議員建設委員会委員長の辞職を許可することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、さように決します。 続いて、お諮りします。 三十二番国中憲治議員の建設委員会副委員長の辞職を許可することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないと認め、さように決します。   -------------------------------- ○議長(出口武男) 次に、欠員となりました建設委員会委員長及び副委員長の選任を議題とします。 お諮りします。 この選任については、議長からの指名推選の方法により指名することにしたいと思いますが、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認め、直ちに指名いたします。 建設委員会委員長に三十二番国中憲治議員を、建設委員会副委員長に三十三番辻本黎士議員を指名いたします。 被指名人にご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) ご異議がないものと認めます。 よって、それぞれ指名のとおり選任されました。   -------------------------------- ○議長(出口武男) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、十九番中野明美議員に発言を許します。--十九番中野明美議員。(拍手) ◆十九番(中野明美) (登壇)日本共産党生駒市選出の中野明美でございます。ただいまから一般質問させていただきます。 まず最初は、住宅リフォーム助成について、知事にお尋ねをいたします。 地域の雇用を担い、地域経済を支える中小企業・業者の経営が危機に瀕しています。民需が低迷している今だからこそ、国や地方自治体などが発注する官公需を地域の中小業者の仕事おこしに活用し、自治体みずから地域に仕事をつくり出すことが求められております。奈良県は建設業の割合が高い県です。県内の建設業の負債総額一千万円以上の倒産状況は、平成十二年度からの十年間を見ますと、五十件から七十件で推移をいたしております。また、全産業に占める倒産割合では、平成二十一年度三一・九%となっており、全国平均二六・四%と比べ、五・五ポイントも高い状況です。最近の五年間を見ましても、全国平均二八・三%に対し、奈良県では三三・一%と、四・八ポイントも高くなっています。このように倒産した企業も少なくない状況の中、仕事があるだけましだと、経営維持のためぎりぎりの営業がされ、入札を見ても最低価格にひしめく状況であります。 県民アンケートでも、また日本共産党が行っております暮らしのアンケートでも、安心して通行できる歩道の整備や生活道路の改善整備、河川の改修や草刈り、橋の改修など、生活密着型の公共事業を求めています。また、地域経済を支える地場の建設業の営業が立ち行かなくなれば、地域経済はますます疲弊します。また、地域の防災を支えてきた建設業がなくなれば、県民の安心・安全も確保しにくくなります。 知事は今議会開会日に、奈良県知事選挙の所信を述べられ、その中で、県経済を活性化し、県内雇用を増加させ、県内消費を活発にするという目標を掲げ、各般の取り組みを推進してきた、しかし、本県においても税収の落ち込みや厳しい雇用情勢からいまだに脱していない状況だと述べられております。県経済活性化を考えますと、やはり県内でお金が回る仕組みが必要であります。自治体が地域で集めたお金を地域で使うことによって、仕事をつくり出す、その仕事が地域の中小企業や業者に回ることによって、地域に雇用と所得が生まれ、その得た所得が地域で消費され、地域を潤し、それが自治体の財政も潤うことになり、さらに地域へ仕事を生み出せるといった地域経済循環の輪ができることになります。県としても、生活密着型の施策を大いに起こすことが、地域経済循環の輪をつくることになり、県内の中小零細建設業者を育成することにつながると考えます。 これからの社会は、住宅の長寿命化を進め、奈良県で住み続けられる環境整備が必要であります。住宅の増改築やリフォームの際の経費の一部を補助する住宅リフォーム助成制度は、秋田県をはじめ百七十五市区町村で実施をされております。特に秋田県では、住宅投資による県内経済の活性化を図るともに、既存住宅の耐久性、耐震性の向上、省エネ、CO2対策など、住宅の増改築・リフォームにより県民が安全・安心で快適な生活が営まれるよう、居住環境の質の向上を支援するとして取り組まれております。十二億六千万円の投入予算に対する経済効果は、約十五・五倍、地域経済全体に及ぼす経済波及効果は約三百十一億円に達するとしています。県民にとってわかりやすい、利用しやすい助成制度になっております。 県におきましても、この間、国の住宅エコポイント制度と連携し、県産材の利用、耐震化を進める住宅改修補助など、住宅エコポイントならプラスを創設し、取り組み努力をされております。しかし、十一月末現在で、利用実績は四十七件という状況と聞いております。平成二十年の住宅土地統計調査を見ますと、平成十六年以降、増改築・改修工事の全戸数十万四千六百戸のうち、台所やトイレ、浴室などの改修工事が五七・四%を占めております。県民が安全・安心で快適な生活が営めるよう、居住環境の向上支援として、県民のニーズに合った、利用しやすい、わかりやすいものにしていく必要があるのではないかと考えます。 住宅改修に補助金を出す住宅リフォーム助成制度は、県内業者への工事発注により、中小零細建設業者を育成することにもなり、県経済を活性化し、雇用確保にもつながる施策であります。奈良県においても、経済対策として現在実施しております住宅エコポイントならプラスを拡充した住宅リフォーム助成制度をつくるべきと考えますがどうか、お聞きをいたします。 次に、介護保険について、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 介護保険制度施行十年に当たって、政府は改定を進めようといたしております。このたび厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会において二〇一二年度の介護保険制度改定に向け取りまとめられた意見書は、六十五歳以上の一人当たりの保険料は、全国平均で月五千円を超えることが見込まれており、現在の四千百六十円から千円程度上昇する、それが嫌ならば利用者への負担増、介護サービスの給付減が避けられないと高齢者をおどす内容です。地域支援事業に関しては、要支援一、二の人について、市町村の判断で、生活援助を含め、丸ごと介護保険の給付対象から外し、市町村独自の配食サービスなどに置きかえることができる仕組み、利用負担は二割に上げることも出されております。また、同時に、このような給付削減は反対するとの意見が、多くの委員からも出され、併記されております。そのほかにも、介護保険サービス利用の前提となるケアプラン作成の有料化や、特別養護老人施設の相部屋の居住費について、減価償却費相当額保険給付対象外とする意見、もう一方、現状の光熱水費相当を維持すべきという意見の両立を盛り込んでいます。 介護労働者の賃上げのために二〇一一年度末まで時限措置として、全額国費で実施されている介護職員処遇改善交付金は、国の財源が厳しいなどの理由を挙げ、事業所への介護報酬引上げで代替する方向を示しています。これは国費の削減と利用料・保険料アップにつながるものであります。介護保険部会の中で、軽度者と生活援助の給付除外は、国民との約束をほごにするもの、ケアプラン作成を有料化したら、必要なときに必要な介護サービスの利用ができなくなる、介護の社会化の理念に立ち返るべきだ、このような強い批判が出されております。介護保険財政の公費負担を引き上げるべきであると、多数の委員から意見が出されております。 県の高齢者の生活・介護等に関する実態調査の中でも、介護サービスを利用していない理由の問いに、利用したいが利用料金が払えないからと二・九%の方が答えております。また、日本共産党奈良県議会議員団が行っております暮らしのアンケートでも、収入は増えないのに、国民健康保険介護保険料などの負担が重くのしかかっている、何とかしてほしいと、負担軽減を望むものとして、介護保険の利用料、保険料の軽減を四四%の方が挙げております。県民の願う介護保険とはますます離れたものになっていき、低所得者ほど重い費用負担に苦しみ、必要な介護サービスが受けられない状況が広がっております。 お聞きをいたします。一つ目は、社会保障審議会介護保険部会の意見書では、平成二十四年度の制度改正に向けて、利用者、高齢者に新たな負担増や介護サービスを抑制させる内容が多く含まれております。利用料や保険料の引上げ、介護サービスの縮小を行わないこと、また、公費負担割合の引上げを県として国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 二つ目は、利用者負担を引き上げ、軽度者の介護サービス給付や生活援助を縮小することによって、短期的には介護給付費を減らせるかもしれません。しかし、さまざまな利用の抑制が介護保険利用者の状態の悪化や重度化を招き、長期的に見ればかえって介護給付費が増大することになります。県としても、介護保険の利用料、保険料の減免制度をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。 三つ目は要望です。第五期介護保険事業計画における保険料についてですが、前回の介護保険改定時、県の介護保険財政安定化基金は、新たな基金を市町村から徴収せず、また市町村が積み立てている介護保険給付費準備基金を取り崩して、保険料の軽減に取り組まれました。県としても、今度の改定時において、保険料を決める市町村に対し、その伸びをできる限り抑制するよう配慮することを働きかけることを要望しておきます。 三番目は、貧困ビジネスについて、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 生活保護利用者を食い物にする貧困ビジネスという言葉が新聞紙上に出るような状況になっており、大きな社会問題になっております。この背景には、貧困や生活困難の広がり、公的な支援体制が不十分なことがあると言えます。派遣切りが行われ、失業者が再就職の道もなく、ホームレスになる人が増えております。また、貧困が広がる中で、これをビジネスとしてチャンスをねらう人が増えていることもあります。公園などの路上で寝起きしているホームレス状態にある人に、生活保護を受けさせてやる、このような勧誘から始まり、住居を提供するとともに生活保護を受けさせ、家賃や食事代など対価に見合わない劣悪な居住環境や食事を押しつけるなどして、最低生活費をピンはねし、最低生活を侵害しているなど、あまりにも問題が多く、解決が求められております。 県でも昨年、大和郡山市の山本病院において、生活保護者を食い物にした事件が起こっています。このときも、ターゲットとなった方の多くが大阪のホームレスの方でした。これまで、ホームレスの方は、居宅保護が受けづらいという意識や風潮が定着しています。このような中、ともかく屋根つきの住まいへの入居ができれば、劣悪であっても、それまでの路上生活と比べればましであることから、ホームレスの方が差し当たりは違和感を感じない、このような状況が生まれております。劣悪な居住環境や手に残る保護費の少なさなど、おかしいと感じても、自力では次の住居が確保できる見通しがないことから、抜け出せない状態に陥っております。このような貧困ビジネスを必要としない環境づくりが重要であると考えます。 奈良市に事務所があるNPO法人の寮が、生駒市内にあります。この法人は、一つは、高齢者の生活困窮者に対して生活支援、安定のために、住宅確保や食事の確保、二つ目に、高齢者の自立生活を送るための仕事の提供事業を掲げています。この場所を訪問して、驚きました。その方は、大阪で路上生活をしていたところ、住むところ世話したるでと声をかけられ、生駒市で生活保護申請をしてもらい、ここで住んでいるということでした。そこは、水道もトイレもない三畳ほどの部屋で、共同で使うトイレと洗面所、ふろとなっており、台所はありません。この三畳ほどの部屋の家賃として三万九千八百円、共益費五千五百円、運営維持費ということで、昼、夜の弁当が月曜日から土曜日まで、日曜日は飲み物とブドウパン一袋が届けられ、三万五千円、そのほか、光熱費と合わせて九万円取られております。生活保護費十一万円もらうが、市にもらいに行くと、駐車場で事務所の人が待っておられ、その場で九万円渡すので、手元には二万円しか残らないと話されておりました。生駒市内で民間アパートの個室を借りても、月三万五千円の家賃で十分住むことができます。この実態を知っておられる方などは、NPO法人で県知事の認証をもらっているところのやることか、県は何をしているのかと怒りの声を上げておられます。 NPO法人が生駒市内で運営する寮に対して、生駒市福祉事務所は改めて劣悪な居住実態調査を行うとともに、別の住居での居宅保護が可能であることを示し、転居を勧めるなどの対応が必要と考えますが、県はどう考えるのか。また、ホームレスなど住居のない方が福祉事務所に生活保護の相談に来られた場合の対応はどうなっているのか、あわせてお聞きをいたします。 次に、救急医療体制について、医療政策部長にお尋ねをいたします。 四年前に起きた出産をめぐる悲しいできごとや、その後も妊婦救急搬送問題が起こりました。日本共産党は、これまで一貫して、周産期母子医療センター実現を目指し、県民の皆さんとともに運動してまいりました。現在、県立医科大学に総合周産期母子医療センターが、また県立奈良病院に地域周産期母子医療センターの整備で、ハイリスク妊婦県外搬送件数は、年間四十二件あったものが、この一年間では四件にまで減少してきております。しかし、救急搬送の問題は、まだ解決できておりません。救急車はすぐ来てくれるが、それからの待機が長く、早く受けてくれる病院が欲しい、これは日本共産党県議団が実施しております暮らしのアンケートに寄せられた声です。また、昨年の春、生駒市で、救急車は来たけれども、六つの病院から受入れを断られ、大阪府の搬送先で亡くなるということも起きております。 救急搬送時間は、近畿の平均三二・三分に対し、奈良県は三八・八分と、近畿圏で最も搬送に時間を要している県になっております。また、三次の救命救急センターの受入れ率は、全国平均九三%に対し、県は七九・三%と、全国で最低水準となっております。救急医療体制は、患者さんの症状により、一次救急はかかりつけ医や各市町村の休日夜間応急診療所で対応する、二次救急は入院治療などを要する救急患者に病院で対応する、三次救急はこの二次救急で対応できない重篤な救急患者に、県立医科大学附属病院高度救命救急センターをはじめ三カ所の救命救急センターで対応するとしております。 県は、三次救急医療について、高度医療拠点病院を設置するとして、県立奈良病院県立医科大学附属病院を位置づけております。また、重症は絶対断らない救命救急室を設置するとしております。三次救急医療で一定回復見通しの立った患者さんが移動できる後方病院の連携・整備がなければ、三次の救急医療も十分役割を果たすことが困難です。二次救急では、医師が一人で当直する病院も多く、救急患者の受入れが十分できない状況があり、この背景には医師・看護師不足があります。 救急患者が発生しても、運ぶ病院が見つからない。病院があったとしても、該当する診療科の医師がいないという現状があります。救急搬送のルールづくりを行ったとしても、実際それで回っていくのかと疑問がわきます。救急車に乗って、救急隊員の方が受入れ病院を探して悪戦苦闘され、物すごいプレッシャーの中で対応されており、一方救急患者は、大丈夫かと不安な思いをされております。これらの問題解決には、一次、二次、三次の救急医療体制の役割分担と改善・連携が必要です。特に、二次救急医療受入れ病院診療科医師の把握、点在する医師の情報が不十分なことから、救急隊の受入れ病院を探す時間がかかっています。まずこの改善を図り、二次救急でだめなときは三次救急で対応でき、それぞれのところが役割を果たせるよう、連携ができるようにしていく必要があります。救急隊が患者の受入れ可能な病院を迅速に選定し、搬送できる仕組みづくりが必要だと考えますが、どのような取り組みを行っておられるのか、お伺いをいたします。 軽症の救急患者に対する一次救急医療は、各市町が休日夜間応急診療所や在宅当番制により体制整備を図っていくことになっております。奈良県下十一カ所ある休日夜間応急診療所の一つである生駒市の場合、平日は午後十時から翌朝六時まで、土曜日は午後四時から翌朝六時まで、日曜・祝日は午前十時から翌朝六時までとなっております。十一すべての休日夜間応急診療所が、生駒市のように実施しているかといえば、奈良市と橿原市だけです。現実問題として、休日夜間応急診療所といっても、約七割のところが、平日、土曜日の夜は診療を行っていない、不十分な状況であります。一次救急で対応できる方が、直接二次救急の病院に行くことがないようにするためにも、一次の役割を果たす休日夜間応急診療所の整備が求められます。一次救急として、市町村が運営する休日夜間応急診療所の充実について、県としてどのような取り組みをやっていくのか、お伺いいたします。 救急医療に関する県民の理解の促進と相談体制についての要望ですが、特に一次の救急にかかる多くは小児科が多いと言われております。しかし、全国的に見ましても、小児科医が足りない状況です。必死で子育てされている方々が、子どもの病気について学ぶ機会のない状況の中、軽症かどうかの判断もつかないまま、不安で心配で受診されていると思います。子どもの病気の知識を得る機会があれば、心のゆとりができ、我が子を心配する親の不安を減らすことにもなり、結果的には医師の負担を軽くすることにもつながると考えます。現在、#七一一九、#八〇〇〇など、さまざまな取り組みがされていますが、ともに地域医療を育てていく上でも、子育て世代への子ども救急の対応を引き続き働きかけるよう要望しておきます。 答弁によっては自席から再質問いたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(出口武男) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十九番中野明美議員にお答え申し上げます。 私に対しましては、住宅リフォーム助成制度についてのお問い合わせがございました。住宅エコポイントならプラスを拡充した住宅リフォーム助成制度をつくるべきと考えるが、どうかということでございます。 全国的に住宅需要は低迷しておりますが、既存住宅を有効に活用する意識が高まってきております。本県といたしましても、今後リフォームを推進することは、住宅産業の活性化につながるものと考えております。このため本県では、今年度住宅産業活性化のための経済対策といたしまして、住宅新築リフォームについての助成制度、住宅エコポイントならプラスを創設して、現在実施しております。議員お述べのように、十一月末時点でリフォームは四十五件の申請、新築二件の申請がある状況でございます。この制度は、国の住宅版エコポイント制度がありますので、その利用に合わせて県産材を活用した新築住宅や景観に配慮した屋根・外壁改修、耐震改修に対しまして、平城遷都一三〇〇年記念プレミアム商品券を活用して、県独自の助成を行ってきているものでございます。県民の方々が、本制度を活用されることにより、住宅産業の活性化はもとより、省エネ住宅の普及、県産材の利活用、奈良らしい景観づくり、住宅の耐震性の確保等が推進されまして、またあわせて、平城遷都一三〇〇年記念商品券交付による県内消費の拡大といった施策効果を期待して設けてきたものでございます。 今後のリフォーム助成でございますが、国の住宅エコポイン制度が平成二十三年十二月まで、今後一年間延長されることになりました。今年度の住宅エコポインならプラスの利用実績は、先ほど申し上げた程度でございますが、その効果の程度や県民ニーズの動向を踏まえて、来年度予算に向けまして、リフォーム助成の充実を検討してまいりたいと思っております。 私に対する質問は以上でございました。 ○議長(出口武男) 杉田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(杉田憲英) (登壇)十九番中野明美議員のご質問にお答えします。 私に対しましては、介護保険に関連して二問、生活保護に関連して一問、合計三問のお尋ねでございます。 まず、介護保険のうち社会保障審議会介護保険部会の意見書についての対応についてのお尋ねです。 先日、社会保障審議会介護保険部会で、平成二十四年度の制度改正に向けた介護保険制度の見直しに関する意見が発表されました。この意見書によりますと、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組み、給付と負担のバランスを図ることによる持続可能な介護保険制度の構築、この二点が基本的な考え方として提言されております。 具体的な提言でございますが、二十四時間対応の定期巡回、随時対応サービスの創設、介護サービスや生活支援サービスとの連携を図った高齢者向け住宅の整備といった、要介護者を地域全体で支えるための体制の整備に向けたサービスの充実を図る一方で、軽度の要介護者等に対する生活援助などを給付の対象外とすることや、その保険給付割合を引き下げること、また、一定以上の所得がある者に対して利用者負担を引き上げることの検討など、給付の重点化や負担の見直しなどを挙げており、今後政府におきまして具体化の検討が行われます。 介護保険につきましては、サービスの給付水準をどの程度とするか、サービスを賄うために公費と保険料の負担のバランスをどのように設定するか、さらには、公費についてどのように恒久的な財源を確保するのかといった点について一体的に議論する必要がございます。また、この議論は、介護のみならず、医療や年金も含む社会保障と財政、税負担のあり方にも直結するものであり、国レベルで国民的な議論を行うことが欠かせないものでございますが、県としても機会をとらえ、サービスの充実と公費の充実について要望してまいりたいと考えております。 二点目でございますが、県としての利用料、保険料の減免制度の創設についてのお尋ねでございます。 介護保険の保険料、利用料につきましては、制度上、高齢者の負担能力に応じましてさまざまな負担軽減措置が講じられております。まず保険料については、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、所得に応じて六段階の保険料率が設定され、低所得者の負担が軽減されております。また、市町村の判断によりまして、高所得者の負担を増やした上で低所得者の負担をさらに軽減する等の弾力的な対応も可能でございます。次に、利用料についてでございますが、利用料の負担限度額が所得段階的に設定されておりまして、限度額を超える利用料については払い戻されることとなっております。このほか、世帯非課税である低所得者に対しましては、施設入所の場合の食費、居住費などにつきましても負担軽減が行われておりますし、生計困難者と市町村が認めた方に対しましては、社会福祉法人のサービスの利用料の軽減が図られております。県といたしましては、今後も、介護保険制度の基本的枠組みに沿って対応することを基本に考えておりますが、保険料も利用者負担も高齢化の進展に伴い上昇は避けられないことから、保険料の徴収率の動向や利用者負担が高齢者の介護保険利用に与える影響について、引き続き関心を払い、実態把握に努めてまいります。 三点目でございますが、生活保護受給者をターゲットにしましたいわゆる貧困ビジネスについて関連してのご質問です。 生駒市内におきまして、高齢の生活困難者に対して、住宅や食事の確保、仕事の情報提供を行うことを目的に設立されたNPO法人が、住宅施設を運営しており、主に生活保護受給者が入居しているとのことでございます。九月の予算審査特別委員会での議員のご指摘を受けまして、担当課職員が生駒市職員と同行の上、現地訪問を行いました。同施設は、鉄骨づくりの二階建て、ふろ、トイレが共用、三・五畳の洋間が十四室ございます。現在、入居者は七名で、うち生活保護受給者が六名、そのうち三名の方は大阪市内で野宿生活から当施設に入所したと承知しております。生駒市福祉事務所では、年二回、定期的に訪問調査を行い、入居者の生活実態を確認しているところでありますけれども、現時点におきましては、入居者から生駒市福祉事務所に対して、居住環境、食事など処遇に関する苦情はないと報告を受けております。しかしながら、施設を確認しましたところ、建築基準法は満たしているとはいうものの、部屋にも建物全体にも飲用の水道栓、あるいは台所スペースがなく、さらに居住用スペースが著しく狭いなど、生活の質を維持する観点から疑問なしとはしないのも事実でございます。したがって、今後、生活水準が著しく悪化したり、処遇が著しく不適切になっていないか、引き続き定期的かつ的確に把握し、必要に応じて転居指導等の支援を行うよう、生駒市福祉事務所に対して指導してまいります。 次に、住居のない方から生活保護の相談があった場合の対応についてでございます。 従来、住居が定まらないまま保護を適用した場合、保護費支給や支援に支障を来すとの懸念から、全国の福祉事務所で、住居がないことを理由に、ホームレスの方の申請を受け付けないという取扱いが見受けられました。これを受けまして、ホームレス等住居がない方に対する生活保障と自立支援を適切に行うため、法定受託事務である生活保護の処理基準におきまして、平成十五年七月に、居住地がないことのみをもって保護の要件に欠けるものではないとの考え方が明示され、さらには、平成二十一年三月に実務担当者向けガイドラインである生活保護問答集におきまして、住所がないことを理由に申請を拒むことはできないことがさらに明示されております。県では、事務監査におきまして、相談申請時の対応状況を重点的に監査しております。今後も、住居のない方からの相談につきまして、申請権を侵害することなく、申請者の状況に応じた適切な支援を行うよう指導してまいりたいと考えています。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 武末医療政策部長。 ◎医療政策部長(武末文男) (登壇)十九番中野明美議員の私に対する救急について二問の質問でございます。 まず、救急患者の受入れ可能な病院を迅速に選定して搬送できるシステムづくり、仕組みづくりの取り組みでございますけれども、救急隊が救急患者の受入れができる病院を迅速に選定できる仕組みとして、救急患者を医療機関に搬送するためのルールを今月中に策定し、来年一月中に運用を始めることとしております。この搬送ルールのない現在は、例えば脳卒中の患者さんについて、病院が脳卒中に対応できるかどうかの情報を救急隊に提供しております。ただ、同じ脳卒中でも重症の場合、当直する脳外科医の経験によって対応できない場合もございます。また、病院としては脳卒中の治療が可能であっても、何かの理由で当直がかわったりなどして、脳外科医が当直でなくなると、脳卒中の救急患者に対応ができなくなる、こういったことが起こっているわけでございます。 このような現状を踏まえ、策定する搬送ルールは、まず、病院に対してどのような救急患者の対応ができるかを事前に調査しまして、しかも症状や重症度、そして時間帯別の対応可能な病院リストを作成いたします。そして次に、救急隊が収容した救急患者の症状や重症度を判定する基準も、これを策定いたします。その二つの基準を策定しまして、救急隊の判断する患者の症状や重症度、それと受け入れる病院の対応可能な患者の症状と重症度、この二つの基準を統一します。そうしますと、その結果、適正に対応できる病院を絞り込むことができることから、迅速に搬送する病院の選定ができるようになるという仕組みでございます。 ただし、実際の救急搬送が策定したルールどおり運用されるためには、医療機関の情報を詳しく正確に救急隊へ伝達することが重要です。加えて、救急隊が適切に対応できる病院をより確実に選定できるようにするためには、実際に行われた搬送結果を検証し、搬送ルールを継続的に改善することが必要になるというふうに考えております。このため、日々変化する対応可能な疾患情報を県がきめ細かく病院から収集し、あらかじめ救急隊等へ提供しておくとともに、適正な救急搬送であったかの評価をすることとしており、そのための経費を今議会に補正予算として提案させていただいているところでございます。 次に、一次救急として市町村が運営する休日夜間診療所の充実でございます。 軽症の救急患者に対応する一次救急として休日夜間診療所がございますが、重症の患者に対応する二次や三次の医療機関が、本来の重症患者に専念できるようにするためにも、その一次救急の充実が不可欠であるというふうに考えております。そのため、保健医療計画や地域医療再生計画においても、県内二カ所に拠点的な役割を果たす休日夜間応急診療所が必要との県としての方向性を提示してきたところでございます。本来、一次救急体制の整備は市町村の役割でございますけれども、平日の深夜帯や一次の救急患者が多数発生する小児科の診療体制をそれぞれの市町村で確保することは大変困難でありまして、広域的に連携を図り、その体制の確保をすることが必要と考えております。 そのため現在、一次救急医療体制の充実について、奈良モデル検討会の作業部会において市町村と協議を進めているところでございます。また、特に小児科の診療体制が不十分な北和地域での体制確保については、関係者と今協議をしているところでございます。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 十九番中野明美議員。 ◆十九番(中野明美) 答弁ありがとうございました。 貧困ビジネスについてですが、居宅保護は生活保護の実施原則でありますから、それぞれのところで幾ら賃貸借契約が形式的に整っておっても、劣悪な居住条件であれば、正しくいくのが当然だと思います。最後のセーフティネットとしての役割を持っておりますのが生活保護でありますから、今全国各地で問題になっております生活保護の利用者を食い物にするような貧困ビジネスは、この奈良県では許さないというその毅然とした態度を示して取り組んでいただきたいということを強く求めておきたいと思っております。 もう一つは、住宅リフォーム助成制度でございますけれども、知事は今までも、県内で何とかお金が回るように、県の経済活性化ということでご苦労いただいていると思うわけでございますけれども、奈良県の倒産した建設業が、ほかと比べてポイントが高いというふうな状況の中で、やはり県内の中小零細建設業者個々の仕事おこしや育成ということで考えていけば、生活密着型のこの事業を進めていくということが大事だと思います。この点で、知事さんのお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。 秋田県と比べてどこが違うのかなと思いましたら、秋田県は増改築やリフォーム工事すべてに適用できる、利用しやすいというふうになっております。やはり県民の皆さんのアンケートをとりましても、まず、台所、トイレ、おふろの改修工事が五七・四%とあるように、ここのところでのニーズが多いのではないかと思います。奈良の未来目標ということで県民アンケートをとっておられるわけですけれども、ここで将来の居住願望は、ずっと住みたいという人が六割、若者のいずれは戻って住みたいというのを合わせると、若者のところでも五八%、奈良県の住宅の持ち家の割合が七割という状況なんです。こういうことを考えますと、住宅のリフォーム、今経済が大変になっている、建設業のところも大変になっている、こういう中で住宅リフォームの仕事はいろんな職種にかかわってくるということで、大工さんや畳屋さんや左官屋さん、電気屋さんとか、町場の工務店、こういうところで仕事が増えてきますと、下のところで、県内でお金が回るということにもなってきますし、地域が活性化すると思うんです。そういう意味では、知事のご英断で、今行われております住宅エコポインならプラスをぜひ拡充していただきたいと思うわけなんですけれども、ここら辺のお考えももう一度お聞かせいただけたらと思っております。 ○議長(出口武男) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 二つの点についてのご指摘がございました。 一つは、県内建設業の振興ということでございますが、不思議なことに、公共事業が随分減っております中で、奈良県は建設業者さんの数が減らない、珍しい県でございます。倒れるということではなしに、撤退される方が数は少ないということでございます。これは、あまり従業員を置かないで、看板を立てておられるだけというか、という方が多いのかもしれません。ちょっと勉強は始めております。一方、事業を熱心にしても倒産するという方は、これは深刻でございますので、いずれにしても、事業の環境を活性化するというのは大事なことだと思いますが、その一つが公共事業より民需という、民間の方の建設業に対する消費を増やすのはやはり住宅じゃないかと思います。県産材の利用という観点からも、あるいは先ほどご質問がありました高齢者の住宅へのリフォームという観点からも、幾つかの視点があろうかと思います。また、十一月までの、これまであまり実は期待したほど申請がなかったように私自身は思っておりますが、どうしてだろうかということは研究しております。議員がおっしゃる利用しやすい制度にしなければという点が一つのポイントかと思いますが、次の予算編成に向けてずっと勉強したいと思っております。 ○議長(出口武男) 十九番中野明美議員。 ◆十九番(中野明美) 今答弁いただきましたように、やはり県民の皆さんは、利用しやすい住宅リフォームの助成制度を、今現在のエコポインならプラスというのはまだまだ周知徹底というところでは弱いかなと思うわけなんですけれども、住民の皆さんは、先ほども言いましたように、使いやすいというところがありますので、町場の本当に小さなところで、建設業の皆さんのところで仕事が回るような仕組みをぜひ、知事が先頭に立って取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、終わっておきます。 ありがとうございました。 ○議長(出口武男) 次に、八番森山賀文議員に発言を許します。--八番森山賀文議員。(拍手)
    ◆八番(森山賀文) (登壇)議長のお許しをいただき、第三百回の記念定例会において機会を与えていただきました先輩、関係の皆様に感謝申し上げ、早速質問に移らせていただきます。 まず、県立医科大学教育部門の移転について、荒井知事に質問いたします。 昨年九月の定例会直後に、県立医科大学の移転構想が発表されてからはや一年がたちました。ことし九月には移転のための条件及び基準として、教育部門と附属病院の間が徒歩圏、現状の病院敷地面積に加えて一万平方メートル以上が必要、移転先の地元協力度など、より具体的な内容が示されました。さらに、この間、中南和地域の多くの市町村議会から計画見直しを求める意見書が提出され、医療圏内に住む方にとりましては、他人事ではない切実な問題であることも確認できました。定例会ごとに、私を含む地元選出の四名の議員も全員、地域の声を代弁し、移転は県立医科大学附属病院に可能な限り近くにと訴え続けてまいりました。 そのような中で、移転先の候補地として複数挙がっていた一つ、生駒市の高山地区第二工区の選択肢はようやくなくなり、先日の代表質問における知事の答弁で、県立医科大学附属病院近くの県農業総合センターが一番有力であるとおっしゃっていただきました。今後、中南和地域のマグネットホスピタルとして、また吉野郡を中心とした南和地域の診療所等との連携を構築していくことにおきましても、県立医科大学附属病院は充実させねばなりません。それらの実現の近道となる今回のご答弁は、関係者も少し安心されたことだろうと思います。しかし、私たち県民自身も、地域医療をよくするために果たさなければならないことがあることもわかってきました。救急患者の受入れについて、県下の救命救急センター県立医科大学附属病院を含め三つありますが、昨年一年間に救命救急センターへ搬送された救急患者は、転院搬送を除くと千百一件ありました。そのうちの百五十八件、率に換算して一四・四%が軽症の患者でありました。軽症の患者が搬送されることで、救急医療を担うべき救命救急センターが軽症の患者の処置に忙殺され、その結果、本当の救急患者を受け入れてもらえない状況も生まれています。これは、私たち県民自身が、軽症の場合は近所のかかりつけ医に診てもらうよう意識改革をしなければならないところです。県立医科大学附属病院は、これら私たち県民が意識改革を進めることとあわせて、県立医科大学附属病院県立医科大学を徒歩圏内に建て替えることで、確実に充実されていくと思います。また、今後、地元橿原市と中南和地域のために、県立医科大学の整備と県立医科大学附属病院を中心としたまちづくりを進めるに当たっては、地元としても積極的に協力し、かかわっていく必要があると思います。 そこで、知事に質問いたします。県立医科大学を県農業総合センターに移転し、さらに、新駅の誘致を進めることができたなら、近鉄橿原線を挟み、東側には県立医科大学附属病院がさらに充実し、駅を中心とした商業施設の誘致や県立医科大学附属病院との関連性のある施設の配置とあわせて、万葉ホールまでの一帯ににぎわいをつくることができます。西側についても、県立医科大学が整備されると、学生や教職員が行き来し、さらにその西側には、橿原市雲梯町の運動公園もあり、にぎわいの場所となります。こういった大きなまちができ上がることになれば、それこそ北高南低と言われる偏った本県の状態を均衡させる、中南和地域の活性化のための核ができることになります。今後、県立医科大学の移転構想の実現に向けてどのように取り組んでいこうとされるのか、また課題は何なのか、お伺いいたします。 次に、県立の児童自立支援施設である精華学院について伺います。 精華学院には、家庭、地域、学校等で問題行動のある児童や、家庭環境その他環境上の理由により生活指導等を要する児童が入所しており、入所児童は、基本的な生活習慣が身についていない、人間関係の形成が不得意で、他者との信頼関係の構築が不得意等々、さまざまな課題を抱えています。また、近年、発達障害を有する児童、適切な養育が行われなかったために情緒面に問題を抱える児童など、特別なケアを必要とする児童が増加しているのが現状です。逆の言い方をすれば、こうした課題を抱える児童に対して、しかるべきときにしかるべきケアが行われてこなかったために、問題行動や生活指導を要する事態に陥ったと言えます。ケアが行われてこなかった原因はさまざまです。例えば、親の養育能力の問題、経済的理由を就労環境等の困難な条件がふくそうして適切な養育ができなかったケースもあると聞いております。これは、奈良県のみの傾向ではなく、全国的な傾向となっています。 先般の厚生委員会の県外視察で、他県の施設を見学させていただいた際も、児童の問題行動の背景に、本県の傾向と共通しているものがあることを確認できました。また、いろんなお話をお聞きし、今後の精華学院のあり方を考える上で非常に有意義な視察となったところです。その際確認できたことの一つは、入所児童の傾向として、家庭環境においては母子家庭の子どもが多く、また、問題を起こす根本原因は思春期の一時的な反抗期が極端にあらわれる一過性のものではなく、子ども自身の成長にもかかわる発達障害を持つ児童が増える傾向にあるということなどです。 私が相談を受けた一つにも、夫婦間のDVを見ながら育った、保護者の言うことを聞けない児童の相談がありました。離婚し、DVからは離れたとはいえ、トラウマが原因で心を閉ざし、なかなか親の言うことや周りの言うことを聞けなくなったかわいそうな状態にあります。小学生低学年で既に、保護者の言うことを聞かない児童と、ストレスがたまっていく母親の今後が、とても気になります。もちろん、母子家庭においても子どもをしつけ、立派に育てておられる家庭が数多くあることは言うに及びませんが、県としても対応が求められる課題であると考えます。 そこで、こども家庭局長に質問します。精華学院において、発達障害を有するが、適切なケアをされてこなかった児童、児童虐待をはじめ適切な養育が行われなかったために情緒面に問題を抱える児童等々、特別なケアが必要な児童が増加する傾向にあると聞いています。この現状を踏まえ、県としてより充実したケアを行っていく必要があると感じますが、いかがお考えでしょうか。 次に、県内のホテルなどの客室数の増加について質問します。 ことし、本県にとりましては久しぶりに活気のある年となりました。何といっても、平城遷都一三〇〇年祭効果です。その歴史を味わいに、県内はもとより、県外からもたくさんの方が、例年に比べ訪れました。県外からの観光客の滞在先確保などの宿泊ニーズにこたえるため、本県では、宿泊力の強化を打ち出し、規制緩和を図り、宿泊施設数を増加させる取り組みなどを行っていますが、そのような中にも、本年の、特に春、秋の観光シーズンは多くの方が訪れましたが、今年も宿泊施設は満杯の施設が多くありました。 そのような中で本年、宿泊施設の総合支援の内容がより充実されました。一つは、おもてなし産業強化資金の中の奈良の宿フロンティア・開業支援資金です。この対象者は、現在行っている事業を廃業して宿泊施設事業を開始する方や、現在行っている事業を継続しながら宿泊施設事業を開始される方も含まれています。より充実された項目は、設備資金などの融資額を一億円まで上げ、その利息を県が補給するというものであります。しかし、考えてみますと、この現在事業を行っている方が対象にはなっていますが、現在の事業で利益が十分出ているのであれば、事業を廃業されることはないと思われますので、廃業を考えている方の多くは、現在の経営が軌道に乗っていない方が多いと考えられます。また、事業を継続しながら新たに開業しようと考えておられる方も、このご時世に無借金で現在の事業を行っておられる方は少ないはずです。そういう方や法人を対象に考えますとき、総合支援の融資限度を増やすというのは確かに望ましいと思います。 ところが、信用保証協会の保証額は、上限が二億八千万円と決まっていますので、宿泊施設建設のための新たな資金繰りをしようと検討を始めますと、その二億八千万円の枠内の既に借り入れている部分を省いた上限一億円となります。それでは、既に保証協会の保証がついた借り入れがある、現在事業を行っている方では、その制度の融資を希望額で受けることができないで、資金繰りにつまずいてしまいます。これでは、奈良の宿フロンティア・開業支援資金を活用して宿泊施設業を始めようとする事業者は、無借金経営の方に偏るようになってしまいます。しかしながら、無借金経営の方は、順調に進んでいる現在の事業を優先し、リスクがある新規ビジネスには参入できないと思います。 そのようなことを考えますと、この支援資金の制度は、現在事業を行っている方にとっては利用しにくく、無借金経営の方には振り向かれにくいという、帯に短し、たすきに長し状態になっているように感じます。結果、本県が観光に力を入れ、国内に限らず、国外からも訪れる滞在型観光客を増やしていく目標が達成しにくくなり、また、奈良県下の歴史的文化遺産を資源とした観光客アップにつなげることや、県内経済の活性化にもつながりにくくなるのではないでしょうか。私は、全国チェーンのホテル誘致でも、県内において客室が増えることはよいと思います。しかし、長らく県内で事業を行っておられる方に、この制度を生かし、愛着がある土地で宿泊業という新しい事業の角度から参画していただくことも、観光推進につながり、地元企業にとりましてもビジネスチャンスになり、いろんな意味でより望ましいと考えています。この総合支援制度が本年充実されたのは、そういうねらいがあったからと考えています。 そこで、産業・雇用振興部長に伺います。県内の宿泊施設の客室数は全国最下位クラスです。県内のホテルを中心とした客室数について、現状をどのようにご認識されておられるのでしょうか。また、県内の宿泊施設の強化に向けて打ち出された総合支援制度により、現在までにどれくらいの実績が上がっているのでしょうか、わかりやすくお願いいたします。 次に、人口減少下にある奈良県の定住化の促進について伺います。 近代的な都市建設の基本法の一つに、大正時代から続く都市計画法があり、この法律によって都市計画区域、土地利用規制、都市計画施設など、都市計画の根幹をなす制度が導入されてきました。昭和三十年代以降の経済の発展、産業構造の変化等に伴う産業と人口の都市への集中や、行き過ぎた都市現象の進行から、農地や山林などでは無秩序で虫食い的な開発が行われる現象が生じてきました。このため、都市基盤を整備する市街化区域と、開発を抑制する市街化調整区域との線引きをする規制の意味はあったと思います。一時期は百四十五万人に迫る勢いで人口増加していた本県も、本年初めて百四十万人を切りました。先ほども述べました産業と人口の都市への集中や、我が国で起こり始めた人口減少化などが主な理由です。 しかし、この主な理由以外にも、本県、また生まれ育ったまちで暮らしたいが、基準に適合せず離れていく県民がおられます。その理由の一つが市街化調整区域の壁であります。県下の人口が集中している大和平野には、何代も前からその地域に根をおろし暮らしておられる方がたくさんお住まいです。市街化区域の住宅で暮らす方は、ここ四、五十年の間に増加しましたが、市街化調整区域ではそれよりはるか以前からお住まいの方がほとんどであります。その市街化調整区域において生まれ育ったまちで暮らしたいが、暮らせず、まちを離れ、奈良県を離れざるを得ないという方が増えています。市街化調整区域で住宅を建てるには、ある一定の条件が必要です。住宅を建てようとされる方の家が農家であるかないかという条件です。本県では、ここ数十年で専業農家は減り、兼業農家が増え、サラリーマン家庭が増えてきました。最近では、農業を兼業せず、サラリーマン専業世帯が増えてきているというのが現状です。そのような世帯で自己所有の近所の土地に新たに世帯を設け、分家を建てようとしたときに、規制が壁になり、生まれ育ったまちで暮らしたいが、暮らせずという状態に陥ってしまうケースが増えています。県内では、過去の人口増加を見越し進められてきた住宅開発計画が見直され、現在では逆に、人口減少をどのように食いとめていくかが課題となってきています。 本県には、これまでから長きにわたり、市街化を抑制する市街化調整区域の立地基準として、奈良県の開発許可制度に関する審査基準の中に、提案基準二十二、県南部地域における分家住宅として、本県南部の一部の地域において、いわゆる農家や農家分家の属性を問わない直系卑属の分家住宅の許可基準があります。この基準によって、人口が比較的少ない本県南部地域では、市街化調整区域であっても一定基準内で住宅を建て、そこに暮らすことができます。人口が急激に増加していった時代には、意味のある基準だったと思いますが、今は県人口が減少していく時代です。これまで右肩上がりで人口増加することを前提に作成された市街化調整区域の基準を、これからも厳格に適用して、サラリーマン家庭など農家以外の分家住宅について県南部地域だけに限定して許可することを、これからも変わらずに続けることが望ましいのでしょうか。県全体くらいを対象に進めるほうが、その対象者にとりましても、余計な人口減少化を防ぐことにつながる奈良県にとりましても望ましいのではないでしょうか。 現在の人口増加率や出生率から考えてみましても、市街化調整区域において分家を農家に限定せずに、県下全域で許可をしたとしても、愛着ある地元での農地の乱開発につながるおそれは全くないと思います。美しい風景や静かな住環境も変わらず維持できると思います。むしろ、実際は農家ではないのに、基準を満たすために細工をして、最低条件を満たすことで農家として認めてきたことを半信半疑で見てきたこれまでの申請や不法建築物への指導を厳しくすることこそ、これから市街化調整区域に望まれている姿だと考えます。硬直的な利用制限は、県人口が百四十万人を切った今、そろそろ見直す時期に来ているのではないでしょうか。 そこで、まちづくり推進局長に伺います。この提案基準二十二、県南部地域における分家住宅の許可基準ができてからの許可件数の実績はどのようになっていますでしょうか。また、人口が減少している今、この基準を広域に広げられないものでしょうか、答弁をお願いいたします。 次に、環境問題について、景観・環境局長に要望します。 ある日突然、橿原市曲川町の静かな小集落の住宅の隣に、焼却炉が建設され、稼動しました。申すまでもなく、かかわる地域は大反対です。現在も、撤去、撤退実現に向けて、地域が一丸となって取り組まれています。先日、住民に対しての説明会が行われました。遅い時間にもかかわらず、百名以上の出席でした。また、行政サイドの担当者もたくさん説明会にご出席いただきました。なぜ、静かに暮らしている住宅の隣へ焼却炉が建ち、稼働できるのか、普通に暮らしている専門知識が少ない住民にはわかりません。稼働すれば、煙突から黒煙が確認でき、振動が起こる。焼却灰も、適正な処理ができていないのではないかという事象。なぜ、脅かされている生活環境を行政は守ってくれないのかという不信感。市や県の担当者からは、これまでの経過をはじめ、住民の生活環境を守るために行政としてできることなどを、地域の方の心情をお察しいただきながら丁寧にお伝えいただきました。 この焼却炉、近隣への影響も大きいですが、違法な建造物ではありません。住民の方も、必要悪との表現で、社会の現状から言っても、やむを得ずどこかには必要な施設との認識はあります。しかし、それが生活者を巻き添えにする場所であっては絶対にいけないと考えています。今の法律や条例の範囲内で稼働されているために、行政サイドとしても打つ手が限られています。しかし、地元の方からすれば、住民生活を守る行政が、それでは頼りないではないかと不信感につながります。地域の方の思いは痛いほどよく理解できますし、行政サイドも住民説明会にご出席いただき、地域の声を受けとめていただき、パトロールなど、できることはしていただいています。しかし、問題解決に向けた答えは出ていません。 そこで、景観・環境局長に要望します。今後も、地域住民の不安の解消に向けた県としての努力を強く要望いたします。 最後は、子宮頸がん予防ワクチン接種と、性教育についてです。 子宮頸がんは、ここ二十年で、我が国の二十歳から三十歳代の女性患者数が倍増し、三十歳代の女性におけるがん罹患率で見ますと、十万人中五十五人と、二位の乳がんの十万人中三十人を大きく引き離しています。がんは不治の病と言われてきましたが、子宮頸がんは、他のがんと違い、原因が解明され、ワクチンを接種することで予防が可能と期待されています。 そのような中、国では、子宮頸がんを予防するための子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金を都道府県で基金として積み立て、その基金を各市町村へ助成し、子宮頸がんワクチンを接種していくことが決定いたしました。しかし、メリットがあればデメリットもつきものです。このワクチンは、がんを予防できるという大きな作用がありますが、副作用を心配する声もあります。ワクチンに含まれるアジュバンドを添加した成分が体に及ぼす長期的な影響について、現在まだ実験段階であり、逆に不妊などを招くのではということを心配する方もおられます。 子宮頸がんになぜかかるのか、その原因ははっきりしています。ヒトパピローマウイルスの感染によるものです。このウイルスは、何が原因で感染するのかと申しますと、性行為による場合がほとんどと言われています。なぜ、今二十代、三十代の若い世代に子宮頸がんの発症率が増えているのかという問いに対して、性交渉の開始時期の低年齢化などの影響があるものと考えていると、国会でも回答しています。以前、この場で、高校生の性教育について質問した際に、県下の統計として表向きに上がっている数値は、高校二年生で性行為を経験する人は、男子で二六・八%、女子で三三・四%というものでありました。そのような現状からしますと、最も高い感染源を今根本から摘み取ることは難しいと思いますので、ワクチン接種によって命を守ることに意味はあると思います。今回の子宮頸がん予防ワクチンの接種対象者は、中学一年生から高校一年生の女子に三回接種となっています。先ほども申しましたが、性行為を行わなければウイルスの感染もなく、副作用の心配もありません。そこで、子宮頸がんはワクチンで予防できるようになりましたが、接種対象者の子どもたちに、ワクチンを打ったから性行為をしても大丈夫だというような誤った考え方に結びつかないように、この機会にしっかりと性教育をするべきだと思います。 県が保護者向けに発行しているA四判三つ折りの冊子があります。これにはQ&Aなどがありますが、今回の内容を見る限りにおいて、原因は何?との問に対する答えで、主に性交渉により感染しますと、短いですが、記されています。思春期を迎える世代が、性に興味を持つことは自然な現象ですが、すべてを児童や生徒の自主性と判断に任せておけば、心身の変化が激しく不安定な時期にある若い人たちは、自分を見失い、後に後悔してしまうことが多々あります。しかし、性行為についてまだ意味さえわからない、わかっても興味本位程度にしかわからない思春期の子どもたちに、学校教育で行うことには限界があろうとも推測します。その世代には、家庭において保護者から教育をするのが、形式的にならず効果も高いと考えます。 そこで、教育長に質問いたします。児童や生徒を取り巻く性の環境をどのように認識されていますでしょうか。また、予防ワクチン接種のこの機会に、児童や生徒が誤解した安心感を持ち、安易に性行為に走らぬように、性道徳意識の高揚について保護者に発信していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。 以上、五点の質問と、一点の要望をいたしまして、私の壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(出口武男) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)八番森山議員から、県立医科大学教育部門の移転についてのご質問がございました。 県立医科大学附属病院の移転とおっしゃることもあるんですけれども、よく考えますと、教育部門、研究部門、病院部門と三つある部門のうち教育部門、場合によっては研究部門の移転が可能かどうかということが課題でございます。病院の移転については言及したことはございませんが、その中で議員は、ご質問の前に二つ、大変重要なことをおっしゃっていただきました。病院をめぐる意識改革というような言い方でございましたが、一つは、このような大きな病院、県立医科大学附属病院のような大きな病院の意味ですが、軽症患者を受け入れていて、救急の患者の受入れを場合によっては阻害しているんじゃないか、そのようなことについての意識改革は必要ないかというところまでおっしゃっていただきました。これは大変重要なご認識であろうかと思います。 県立医科大学附属病院のような高度の医療が期待されている病院におきましては、他の病院ではできない、ここしかできない高度の医療、特に救急における医療ということが可能でございますので、軽症患者に忙殺されてということは極力避けたいという面がございます。その点は大事でございます。もう一つは、地元の協力度、理解度ということについての意識改革というふうにもおっしゃいました。これは身近な総合病院というのがずっと期待される病院像でございましたが、このような病院でございますと、新県立奈良病院もそうでございますが、遠くから来られる重篤な患者様が高度な病院にはおられるということが、身近な方にも理解、認識してもらうというのがとても大事なことだということが、最近特に言われているように思いますので、その点に言及されましたこと、大変ご立派な言及だなというふうに思う次第でございます。 県立医科大学教育部門の移転につきましてでございますが、中南和地域の拠点病院として県立医科大学附属病院を拡充しようといった観点で見ますと、現在の敷地は大変狭隘だと思います。教育部門が邪魔しているというわけではありませんが、そもそも狭隘なので、二つ、教育・研究、病院ということをあの敷地の中でうまくおさまるかどうかというのが課題でございます。また、教育部門は大変老朽化しているということもございます。病院部門は、投資が順次多少なりとも進んできたということで、また、今年度から附属病院の中央手術棟の建設に着手をしておりますし、それを機会にA棟、B棟のアメニティーも抜本的に改善したいというふうに思っておりますので、病院については拡充の方向ということでございますので、さらに高度の立派な病院にするためには、教育部門の移転ができたらというのが基本でございまして、よく認識いただいておりますが、その移転の候補地として、この議会で申し上げましたが、近隣にある農業総合センターが有力と考えております。 今後のスケジュール、あるいは取り組みの課題のとらえ方ということでございますが、議員ご存じのように、この県立医科大学と附属病院を中心とした地域は大変環境に恵まれた地域だと思います。よく見ますと、東にかしはら万葉ホールという、あるいは藤原宮跡という歴史文化の拠点がございますし、西には今井町の町並みとか、それから橿原市の運動公園というようなものもございます。南には、橿原神宮の森や橿原公苑など、他の地域にないものがございます。このポテンシャルを病院のまちづくりということに生かすべきではないかというふうに思います。教育部門が出ていって、グラウンドなどの敷地があきますと、新駅の誘致や附属病院の関連施設、介護とか看護とかの拠点というようなことでございますが、それから商業施設、病院の隣接しているまちということで、いろんなまちづくりがかなうことができます。大変、病院に隣接したまちづくりというのは、最近注目を浴びている一つの重大なコンセプトでございますので、橿原市の今の時代の敷地でできるまちづくりが構想できるということは、大変ありがたいことだというふうに思っております。 そのようなまちづくりをどう進めるかの前に、教育部門の移転をスムーズに行うという課題がまずあるように思います。そのスムーズに行うという観点からは、移転をする教育施設をどんなふうにするのか、いろんな施設があります。また研究施設をどうするのか。それから、附属病院と教育部門、また研究部門の学生や教職員の方がおられますので、両方に属される方の移動ということをどのように図るのかというようなことがございます。また、移転先で有力と申しました農業総合センターが、大きな敷地でございますが、現に機能している施設でございますので、それを今後どうするのか。併存も可能かと思いますが、その将来像をやはり再点検した上で移転のレイアウトを考えねばいかんということがあろうかと思っております。そのように課題をとらえております。 さらに、今は移転の物理的な課題でございますが、将来的な課題といたしましては、県立医科大学は医科単科大学でございますので、ハンディーというか弊害も、弊害と言ったら僣越でございますが、あろうかと思います。往々にして医療技術を早く学びたいという要請に応じるというのが中心になってきた面がありますので、医業に習熟された医者として、社会性や管理者の能力、あるいは病院のマネジメントの能力などもあわせて持っていただくようなことができればありがたいというようなことも最近言われております。いろんな理想の追求の仕方はあるということでございますが、まず病院のまちづくりといったような構想の実現につきましては、地元の市と住民の方々のご理解と協力がやはり不可欠であろうかと思います。具体的な取り組みを進めていくためには、今後橿原市との協議組織を立ち上げて、検討を進めていきたいというふうに思っております。 残りの質問は関係の部局長に答えをさせていただきたいと存じます。 ○議長(出口武男) 速水こども家庭局長。 ◎こども家庭局長(速水安且) (登壇)八番森山議員のご質問にお答えいたします。 私には、精華学院の運営につきまして、特別なケアを必要とする児童が増えており、より充実したケアが必要と考えるが、どうかというお尋ねでございます。 精華学院には、非行など問題行動のある児童等が入所いたしておりますが、その児童に対しまして、教員資格や保育士資格を有する夫婦の職員をはじめ、専門職員が家庭的な雰囲気のもとでケアを行い、この家庭で児童との信頼関係を構築し、児童が希望を持って社会に自立していく力を養うための支援を行っております。また、精華学院では三つの基本方針を定めまして、児童のケアに当たっております。具体に申しますと、一つ目は、基本的生活習慣の習得はもちろんのこと、自尊感情の涵養等による生きる力の育成、二つ目は、社会の一員として自立できる社会性の育成、三つ目は、勉強やクラブ活動を通じて学力の向上、人間関係の構築、この三つでございます。議員がお述べになりましたように、近年、入所児童のうち児童虐待をはじめとして、適切な養育が行われなかったために情緒面、行動面に問題を抱える児童、発達障害を有するが、適切な養育と支援が行われなかったために問題を抱える児童が増加していることは、事実でございます。 こうした児童に対しまして、専門知識と対応スキルを備えた職員が、きめの細かいケアを行う体制を整えることは、重要な課題であると認識をいたしております。現在、こども家庭相談センターの心理専門職員が定期的に精華学院に出向き、心理診断や心理治療を行うとともに、必要に応じて精神科医師による児童の心のケアを行っております。あわせて、精華学院の担当職員に対して研修会等への参加を通じて、対応スキルの向上を図るとともに、県教育委員会との交流人事によりまして、生徒指導に熟練した教員を配置し、児童のケアに当たっているところでございます。また、今回、精華学院の施設整備に当たりまして、心理療法室の整備と環境の充実を図ったところでございます。今後、特別なケアを必要とする児童の状況を踏まえ、そのケアの充実について検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 福田産業・雇用振興部長。 ◎産業・雇用振興部長(福田将人) (登壇)八番森山議員のご質問にお答えをいたします。 私には、宿泊力の強化ということで、宿泊施設の現状についての認識、そしてまた、支援制度についての成果のご質問でございます。 本県の宿泊者数は、平成二十一年で約二百五十六万人でございますが、これは県が有します豊富な観光資源から見ましてかなり少ない数字であると考えているところでございます。また、観光客の宿泊率も約七%と、京都府の約一九%、近畿府県平均の一二%と比較しても低率となっております。このように宿泊者が少ない原因は、京都府や大阪府に近い立地条件も影響していると考えられますが、本県の宿泊施設の収容力が少ないことが背景にあると思われるところでございます。 具体的には、県内の宿泊施設数は、ホテルが五十六軒、旅館が四百三十軒、計四百八十六軒、また客室数は、ホテルで三千五百三十一室、旅館で五千九百六十一室、計九千四百九十二室と、施設数、客数ともに、全国で最下位クラスとなっております。ことしは平城遷都一三〇〇年祭が開催され、全国から多くの方が来られ、県内での宿泊者が増加いたしましたが、奈良で宿泊できず、京都や大阪で泊まられる状況が発生いたしました。宿泊施設数や選択肢の不足という課題を改めて認識した次第であります。平城遷都一三〇〇年祭により全国から注目を集めました奈良は、今後も国内外から多くの観光客が訪れることが見込まれます。その際、奈良の観光をゆっくり楽しんでいただきますためには、宿泊施設の収容力を増加させることが不可欠であると思うところでございます。 そこで、県内各地で多様な宿泊施設の立地を促進いたしますため、宿泊施設総合支援といたしまして、制度融資と利子補給補助、税の優遇制度や専門家派遣等により、宿泊施設事業者を資金面等で支援しているところでございます。平成十八年から現在までの活用状況といたしましては、宿泊施設の創業を支援する奈良の宿創業資金で一件、宿泊施設の増改築等を支援する奈良の宿パワーアップ資金で十二件の融資を実行いたしました。また、旅館業への事業転換、あるいは多角化を融資対象といたします議員お述べの奈良の宿フロンティア・開業支援資金は、本年創設いたしましたことから、実績はまだない状況でございます。また、宿泊施設を新設または増設した際の事業税、不動産取得税の優遇税制につきましては、ビジネスホテルを中心に、四件の適用事例がございました。これらの宿泊施設への支援によりまして、平成十九年度以降、新たに九施設、六百六十五室が開業されました。その中には、特徴的なものとして、町家を活用した宿泊施設も含まれておりまして、今後も、多様な形態の施設の増加が見込まれるところでございます。 本県におきまして、多様化する宿泊ニーズにこたえ、宿泊施設の充実を図りますことは、経済の活性化、雇用創出という観点からも重要であるため、宿泊施設の立地や整備が進みますよう、資金面の支援に加えまして、開業手続の円滑化等にも積極的に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 上田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(上田喜史) (登壇)八番森山議員からの私に対する質問は、人口減少下にある奈良県の定住化促進についての質問でございます。 県南部における分家住宅の許可基準による実績はどのような状態か。また、この基準を南部地域に限定せず、県下全域に広げてはどうかというご質問でございます。 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とされておりまして、原則として開発、建築行為は認められないことになっております。しかしながら、市街化調整区域では営農活動が継続的に行われていることから、農家の住宅や農家の分家住宅についてはその立地を認めているところでございます。一方、非農家の分家住宅については、市街化を促進するおそれが大きいことから、その立地を認めてこなかったところでございますけれども、五條・吉野地域など過疎化、高齢化が著しく進行している県南部地域に限りまして、その振興策の一環といたしまして、当該地域の定住化促進のため、非農家の分家住宅の立地を認める開発基準を新たに設けまして、平成十四年七月より運用してきたところでございます。 当該地域における非農家の分家住宅の許可実績でございますけれども、平成十四年以降ことし十一月末現在で二十八件となっているところでございます。また、県南部以外の既存集落の定住人口の確保につきましては、平成十七年一月より施行いたしております開発許可基準に関する条例に基づきまして、一定の既存集落において新たな住宅の立地を認め、対応しているところでございます。この条例は、既存住宅のコミュニティーの維持や地域の活性化を図るために設けたものでありまして、活用に当たっては市町村、地域住民の意向を反映させる仕組みとなっております。地域の状況などを勘案しながら、非農家の分家住宅など、既存集落の定住化を図っていくことができ、あわせて良好なまちづくりを誘導できるとしておりますことから、当該条例を活用していくことが今望ましいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)八番森山議員にお答えいたします。 私には、子宮頸がん予防ワクチン接種と性教育について、児童・生徒を取り巻く性の環境についてどのように認識しているか、それから、ワクチン接種により誤解した安心感を持ち、安易な性行為に走らないよう、この機会に性道徳意識の高揚について保護者に発信してはどうかのお尋ねでございます。 近年、性に関する意識等が多様化し、少子化、情報化など、家庭環境や社会環境も大きく変化する中で、児童・生徒の心身の発達は、性的成熟と社会的成熟に大きな差異が生じ、アンバランスとなっております。また、薬物乱用や十歳代の人工妊娠中絶のここ十年の全国調査結果からは、各年で変動があるものの、微増傾向となっております。特に、人工妊娠中絶率では、全体として減少傾向の中で、二十歳未満では増加の傾向を示していることは憂慮すべき状況であると認識しております。 次に、ワクチン接種でございますが、子宮頸がんは二十歳代から三十歳代の若い女性に急増していることを背景として、十歳以上の女性をワクチン接種対象者としておりますが、まれに、ショックやアナフィラキシー様症状などの副反応があることや、保護者の同意により児童・生徒と接種医の相談を行う中で判断する任意接種であることから、県教育委員会では、教職員や学校医等が児童・生徒や保護者から相談があった場合、個別対応として相談に応じることとしております。 このためには、教職員等が子宮頸がんやワクチン接種に関する正しい知識を習得することや、適切に対処できる学校内の体制づくりが重要と考えており、十月には県医師会と連携し、教職員や学校医、保護者等を対象とした子宮頸がんワクチンに関する研修会を開催いたしました。また、保護者に対しても現在、健康づくり推進課が作成いたしましたリーフレット、親子で「子宮頸がん」について話し合ってみませんか?を、小学校六年生から高校一年生までの女子児童・生徒を通じて保護者に配布し、知識の啓発に努めているところでございます。 今後は、各学校において個別相談の際などに、自己の行動に責任を持って生きることや、自尊感情をはぐくむよう指導・助言を行うとともに、県教育委員会といたしましても、学校が保護者及び地域の保健機関等と連携した取り組みが充実するよう、積極的に支援してまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(出口武男) 八番森山賀文議員。 ◆八番(森山賀文) ご答弁ありがとうございました。 時間がありませんので、再質問を絞ってさせていただきたいと思いますが、知事からいただきました県立医科大学についてです。 非常にイメージがわくようなご答弁をいただきました。そして、今回の定例会で、有力という表現をいただきましたが、この医療圏内に住んでいる方は非常にその言葉は安心される表現だと思いますけれども、今のお答えを聞きながら思ったんですけれども、これは、まだ今の段階では有力ということで、決定ということにはならないんでしょうか。その決定とおっしゃっていただくのが無理でしたら、これはもう年内には決定なのかというお答えをいただけるのかということと、それを聞けたらさらに安心は大きくなると思いますので、よろしくご答弁をお願いいたします。 それともう一つは、定住化策についてであります。お答えを聞かせていただきまして、平成十七年からの開発許可基準を新しく進めたということは、これは私も認識しておりますし、この制度はこの制度で進めていかれるのは奈良県にとっても望ましいと思います。それと同時に、人口が急増していったときにつくったこの基準ですね。その基準を今そのままおいといて、この平成十七年からのほうを進めていくというのではなくて、こちらのほうも改善していきながら並行して進めていくことがより望ましいのではないかなと思いますけれども、そのあたりの昔のほうの言っている定住化といいますか、これまでから続けてきたその基準というのは、見直しの検討というのは、今回はならないのかということをもう一度お聞かせいただきたいと思います。 ○議長(出口武男) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 県立医科大学教育部門の移転について、有力というのをいつ決定と言いかえるのかと、こういうことだと思いますが、近々、ちょっと段取りを決めていたんですけど、ちょっと今議会では、いろんな環境整備があるので、有力というところまでは言わせていただこうと、検討のいろんな経過を踏まえてというふうに判断してきましたので、あといろんな微調整があるようにも思いますので、近々の決定というふうには認識しております。 ○議長(出口武男) 上田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(上田喜史) 現在のところ、今の制度を準用したいとは考えております。ただ、今後社会的な状況等を見きわめて、変更も含めて検討はしていきたいと考えておるところでございます。 ○議長(出口武男) しばらく休憩します。 △午後二時三十八分休憩    -------------------------------- △午後二時五十八分再開 ○副議長(藤本昭広) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、十二番田中惟允議員に発言を許します。--十二番田中惟允議員。(拍手) ◆十二番(田中惟允) (登壇)今議会の最後の一般質問をさせていただきます。 まず、農林業の振興について、知事にお尋ねします。 農業は、大きく変革しようとしています。農業で収益性を高める方策が模索され、既にこの十年近く、生産システムにおける事業主のあり方を農林水産省は取り組んできました。その詳細を述べている時間がありませんから、農業法人を認めたということが象徴的な出来事だと申し上げておきます。そして、別途バイオ産業、遺伝子研究に世界の研究者は血眼になっています。食物以外の農生産物において遺伝子組み換え農産品が市場に出回っていることも確かです。もちろん、伝統的な品種改良手法をはるかに超えた技術で、短期間に品種改良された独占的に生産できる商品を開発している現実を見るとき、それはアグリビジネスとの呼び方で農業を国際化させようとの動きとなってあらわれており、今対処方法を失うと、日本の農業施策が混乱することになると確信します。これは身近なテーマであり、深刻なテーマです。そして、農業政策として今のまま、以前と変わらなく指導を行えばよいという感覚では、時代に取り残されてしまうと思いますが、この認識は間違っているでしょうか。私は、これからの農業を支えるには、今まで以上の取り組みが必要と思っています。同意をいただけるならば、奈良県として何ができるのでしょうか、何を推し進めることが大切だとお考えでしょうか、奈良県の方針をお聞かせください。 そして、特に奈良県東部地域は大きな工場もなく、農業、林業が中心的な産業です。この地域に生活する方々にとって、直接的、間接的に農業の発展に期待する人たちが多い地域です。この地域の農業の発展は、今までどおりの農業から脱皮し、これから始まる次世代の農業とわたり合える農業としての取り組みを必要としているのではないでしょうか。農業の生産における奈良県東部振興策は何か、ご答弁ください。 また、農業を囲む環境は一段と厳しさを増しています。その大きな要因は、貿易の自由化TPPと奈良県農業の将来性についてです。かつて日本が高度経済成長政策を推し進め、電気製品や自動車の輸出を促進させるため、木材輸入自由化に踏み切りました。その後、日本林業のたどってきた道は、衰退の一途であり、林業家の逼塞、従事者の離職、もはや林業を担う人たちは一握りの方々のみであります。その結果、林地は荒れ放題であり、国土の保全も怪しくなっているのが現実です。 きょう午後一時より、TPPに反対する県民の方々が、日本の食を守る奈良県緊急集会として、橿原市に集い、必死の思いを訴え、農業の生き残りをかけたアピールを行っていますが、彼らの声を無視することはできないと思っております。議場の議員諸兄におかれましても、ぜひ耳を傾け、彼らと行動をともにしていただきたいと願っています。私は、農業が林業と同じ道をたどり、農場が少しずつ疲弊し、農業が衰退してしまうのではないかとの危惧を抱いていますが、県の考えはいかがでしょうか。県としても、県内農業を守る意味において、TPP交渉参加に関心がないとの答えではないはずであり、協定に反対の意向を示されたいと願っています。既に質問された方々へのご回答は明確ではありませんでした。TPPについては、農業を重視されますよう要望項目といたします。 次に、鳥獣被害対策について、農林部長にお尋ねします。 有害動物の捕獲、射撃については、猟友会の協力を得て実行されています。銃、わな等による頭数削減には、厳格なルールに基づく必要があるし、だれが行ってもよいとは思われません。しかしながら、これだけ日常生活に鳥獣の被害が生じることになると、現状の取り組み方の維持だけでは解決につながらないと思われます。もはや有害鳥獣の頭数削減を具体的に実行する行動に迫られています。そのための具体策についてお尋ねします。 狩猟免許を更新する上で、必修として必要な射撃訓練、その訓練場である射撃場が奈良県内にないことは、誠に残念なことであり、何らかの方策を講じる必要があると私は思っています。射撃場の設置を強く要望します。 銃による対策と同じく有効な手だては、わなです。わなを設置する者は免許を持った者に限られていますが、その限定を緩和する方向性は見出せないでしょうか。知恵を絞れば、対処方法があるように思えるのですが、いかがですか。現在、狩猟したことを証明する動物の部位を届けることによって、わずかな助成金を受け取ることができますが、年間目標頭数を設定し、狩猟意欲を高めるための方策を講じることができるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。柵設置に関しては、個人の農地を対象として事業を行うのが従来の考え方でした。しかしながら、最近は地域全体を囲むことによって被害を少なくしようとの方法が進められて、既に始められています。これを積極的に進めることが必要と考えますが、いかがでしょうか。 以上、有害鳥獣対策としてのわな猟の規制要件の緩和について、狩猟意欲を高めるための方策について、柵の設置についての今後の取り組み方をご回答ください。 続いて、林業の活性化について、農林部長にお尋ねします。 奈良県では、新しい林業の活性化策として、県内のすべての山を木材生産林と環境保全林に区分し、それぞれに対する対処方針を推進しようと計画が示されました。今年度中に区分がなされるとも聞くところですが、今後それぞれの区分に対する施策はどのようになり、林地所有者に対しどのような制限や経営上の認識を持たなくてはならないのでしょうか。 なお、私は、森林環境税については、現場を見ていると、それぞれの山を保全するための作業が行われ、環境的にも東海自然歩道の景観に関して税投入の効果があったと思っています。森林環境税はぜひとも継続すべきだと主張します。 さて、ことしの県外調査で、日田林業のある工場へ出かけました。九州を基本的な営業テリトリーとして事業を展開していますが、その工場運営に圧倒されて帰ってきました。もはや奈良県は林業・木材産業の先進地ではないなとの思いにうなだれるばかりでありました。その工場はごみ一つなく整然としており、かつ作業者に活気があり、最近建設された工場であることに驚かされました。そこで生産された資材は、納品先をハウスメーカー用だと割り切ったものであり、吉野材のような高級製品を供給しようとするものではありませんでした。しかし、製品の規格は誠に厳しく、背引きを必要としない真っすぐな使いやすそうなものでした。需要があり、売りさばく状況を聞くと、売れていく木材という定義が肌身で理解できました。 今の県内製材業界の姿を見るとき、木材需要の製品品質についての考え方が異なることから生じるギャップに、県内木材関係業者が対応し切れていないのではないか。今の事態に気づきながらも対応できていない木材産業界であるように思われます。奈良県木材製材業界へどのような方針で施策を展開するのか、お尋ねします。 さて、不安感がいっぱいだった過疎法の期限切れにかわって、新過疎法が成立し、六年間の新過疎法に基づく計画策定が行われています。宇陀市のみならず、奈良県の東部、南部地域においても、これからどのような展望が開けていくのか、関心のあるところです。市町村は、それぞれ計画を立てられ、県とのやりとりもされていることでしょう。奈良県は過疎地域にどのような支援や協力を行おうとしているのか、奈良県自身としての取り組みをまじえ、具体的なわかりやすい答弁を地域振興部長にお願いします。 次に、畜産試験場跡地にできた施設を総称してのうだ・アニマルパークについてお尋ねします。命の教育の大切さと、その実践ステージとしての利用活用に関して、教育委員会にお尋ねします。 家庭内暴力についても触れることにしているのですが、今日ほど平和な日本にあって、命が軽んじられ、社会の警鐘が打ち鳴らされているときは、今までありませんでした。この課題に対し、命のとうとさを肌身で感じてもらえる場所がうだ・アニマルパークだと確信しています。教育の場としての位置づけを確立させていただきたいとの願いを、九月議会の予算審査特別委員会で申し上げたところです。その後ご検討いただいていることと思いますので、教育長としての取り組み方についてのお考えがあればお答えください。 また、うだ・アニマルパークは地域発展の拠点としての位置づけでもありました。地域活性化への役割を担った施設として、今後の取り組みを期待しています。理事者の皆様のご理解を願い、当初の目的達成のためのご努力を要望します。 次は、宇陀地域の合併によって生じた課題についてです。 宇陀川流域下水道浄化センターが、五年後には宇陀市公共下水道として宇陀市が管理運営することになります。この施設は、大和平野の水不足を解消するため、淀川水系の水を大和川水系に取り入れるためにつくられた上水源である室生ダムの水質保全対策を目的として事業化されたものであり、当時の宇陀川流域の大宇陀町、榛原町、菟田野町の各町は独立した自治体であることから、県が流域下水道事業として実施した経過があります。しかしながら、この施設の基本的な部分として、利用対象者が少なく、運営に経営努力を重ねてこられたところではありますが、慢性的に赤字体質であり、県の財政投入を行ってきた経過があります。宇陀市は、この三町に室生村が加わって誕生した新市でありますが、合併したからといっても、新市の財政状況がよくなったわけではなく、三町一村の収支の合計と大きく変わりはありません。最近、市の保養施設であった美榛苑を民営化し、財政健全化を図られたところであり、他市町村と同じように厳しい市行財政運営をされているところです。 しかしながら、下水道法では、非情にも合併特例期間満了後の平成二十八年度には公共下水道に移管されることで宇陀市が運営せねばならなくなります。この施設では、他の流域下水道よりも高コストである高度処理費用になっており、宇陀市民が全面的に負担しなければならなくなります。ですが、財政規模が小さな宇陀市では維持することすら困難です。小規模自治体の宇陀市が、宇陀川浄化センターの管理運営を行うことによって、市の財政が破綻を来すことは、シミュレーションをするまでもなく、想像できることです。そして何よりも、当施設の建設にご理解をいただいた住民の方々のご協力、また宇陀川流域下水道の事業化に際しては、当時の知事をはじめ多くの関係者の方々が旧建設省にかけ合って、何とか事業化にこぎつけたと聞き及んでおります。このように、これまで宇陀川流域下水道事業に関係した方々の努力を、単に法律上の扱いであるとの一言で済ませてよいものでしょうか。 この課題は、合併によって生じた問題であり、合併当時は、合併によって生じた諸課題について、全庁挙げて取り組むとの力強いお約束もありました。どうか県のご支援をお願い申し上げます。そこで、まちづくり推進局長にお伺いします。宇陀川流域下水道の移管について、合併市における移管の全国の状況と、奈良県の取り組み方針をお答えください。 環境問題、特に産業廃棄物についてお尋ねします。 宇陀市室生区多田にある現在閉鎖されている産業廃棄物最終処分場についてお尋ねします。奈良県内でも有数の大きさになっているこの最終処分場は、平成十四年に埋め立てが終了し、以降、事業者による維持管理が行われていましたが、設置した二業者が破産及び民事再生に至ったことから、県としては現在、閉鎖最終処分場緊急特別対策として、まず調査事業を行っていると聞いています。 そこで、景観・環境局長に伺います。現在の調査事業の進捗状況についてお答えください。また、地元近隣住民の方々が不安を抱かないよう、今後の対策をどのように進められるのか、お伺いいたします。 さて、この一年間を振り返って、奈良市内のにぎわいと比べると、宇陀地域は大きな変化はなかったように思われます。そして、平城遷都一三〇〇年祭の次の観光の取り組みは、古事記、日本書紀に焦点を当てるとも披瀝されているところです。宇陀・吉野地域も、歴史の舞台に登場するところであり、大いに充実した取り組みをされたいとの希望を抱いています。県からの視点による取り組みである観光対策としての奈良県東部振興について、平城遷都一三〇〇年祭来訪者のゲートウエーとなる名阪国道の道の駅・針テラスにおいて、平城遷都一三〇〇年記念事業などのPRを実施するとともに、ドライバー向けに宇陀地域の観光情報を提供されています。奈良県東部地域への誘客推進を行ったことは評価しますが、この取り組みとして、東部地域への波及効果はどうであったのか、また、来年以降の取り組みについて方針を、土木部長からお聞かせください。 名阪国道針インターチェンジでのこの案内に関して、近畿地方整備局から優秀賞をとられたとの話も伺いますが、観光に着目しての道路整備の必要性は特に望むところであり、観光に大きな影響を与える吉野室生寺針線の現事業区間の先線について引き続き改良を進めなければなりませんが、県として最優先で取り組まれることを要望します。また、河川について、宇陀市榛原区内の町並川の掘り下げ工事を進めていますが、この工事で完璧だとは思えず、地域が安全になるためにはバイパス工事が必要であります。バイパスの設置に向け、早急な取り組みをお願いします。 このほか、県道の狭隘な場所は多く、改良を必要とする課題が山積しています。道路維持も重要です。県東部地域の整備に積極的に取り組まれるよう要望します。 次に、県立高校三年生の就職内定状況について、教育長にお伺いします。 ことしの就職戦線は、大学生の厳しさとあわせ、高校生の就職についてもテレビジョンのニュースとして取り上げられたり、社会的にもどのように推移するのか、注目されています。高校生については、進学や就職に関して、学校の指導が責任の一翼を担うとの認識もあり、どのような指導が行われているのか、保護者のみならず一般の方々にとっても関心のあるところです。県内県立高等学校の現在の就職内定率はどのようになっているのか、どの程度落ち込んでいるのか、また、学校における就職指導が、より効果が上がるよう、県教育委員会として高等学校をどのように支援しているのか、有効な手だてとなっているのか、お答えいただきたい。 昨今の家庭内暴力事件、虐待事件などを含めてお尋ねします。 親子間及び兄弟間で発生する事件は、大変心が痛みますし、また想像を絶するようなものもあり、この一年、驚きと愕然とする思いを何度も繰り返してきました。なぜこのような事件が発生するのか、解決の糸口さえわからないというのが現状でもあります。この家庭内暴力事件は、凶悪な事件をはじめ、ネグレクトな虐待まで、あの家庭であの人がどうして、そこまでもと、全く理解の範囲を超えたものが多く起こっています。そして、とうとい命が失われ、希望に輝く将来が消えてしまうということになっていきます。社会の基となる家庭の中ですら、考えのまとめ方、行動基準となる身の処し方がわからない方が多くなってきているのではないかと思われて仕方がありません。命を天から授かり、大事に育てられてきたはずなのに、命が殺められたり、命を殺めたりと、最悪な行いが頻繁に起こっていると言っても過言ではありません。 私は、ここで、それぞれの原因を追及するというのではなく、今日までの歴史はそれとして、ただいまの、そしてこれからの奈良県教育は何ができるのかを考えていただきたいと思うのです。開催された平城遷都一三〇〇年祭のメーンテーマは、はじまりの奈良でした。まさしく日本の基を完成させた大和及び平城の時代、まさしく日本誕生がこの奈良であったわけです。現代は当時に比して、文化文明が姿を変え、産業革命を経て、幾多の戦争を含む、外交問題や命や人権問題も経験し、今日に至っています。今ここで再度、改めて、あのルネッサンスをこの奈良から、奈良県教育からうねりとなって燎原の火のごとく広がっていってほしいものです。 幸い奈良県は、同和教育、人権教育の先駆的な取り組みをした県でもあり、奈良県から全国に広がっていきました。このような実績を引き継ぎ、命の大切さを哲学、倫理、宗教を総合的に学校教育の場で、また家庭教育の場で、子どもに教えるという奈良県独自のプランの取り組みをしていただきたいものです。冨岡教育長の、文部科学省の指導要領を超えたお考えをお聞かせいただきたいと思います。 学校教育及び家庭教育において、今の教育で不足しているのは何か、そして、それを今後いかに進めるのか、県内における家庭内暴力事件等の実態の内容をまじえて、冨岡教育長の教育理念や大きなビジョンをお聞かせください。 最後に、関西広域連合に関して申し述べます。 テレビジョンのニュースの影響で、奈良県が加わらないことについて、奈良県はもはや関西ではないのかなどと揶揄されるときがあります。報道される範囲だけでは、いまだ正確な理解がされていないと思われます。私は、近畿六府県議員フォーラムにおいて、奈良の独自性を発揮して、奈良県の運営を行うことがよいと主張してきました。奈良が奈良としてのかじ取りをしてこそ、アジアのみならずヨーロッパやアメリカの人たちに奈良の魅力を届けられると信じております。また、橋下大阪府知事は十二月一日の記者会見で、当面の課題は近畿経済産業局を関西広域連合へ移管することが地方分権のあかしのような、そういう発言をしていますし、近畿六府県議員フォーラムにおいても、分散する産業の集積化こそ必要だと熱心に説く府議会議員がおられました。阪神地域の発展を願う気持ちが表現され、大阪湾周辺に一大最新鋭の企業群を誘致したい希望を述べておられました。目指すは産業振興かと感じられ、何か衣の下によろいを見る思いをしたところです。 また、関西広域連合の許可を出した総務省の十二月一日付報道資料によりますと、この関西広域連合には奈良県、福井県、三重県及び各府県と同じほどの行政権限を持つ大阪市、京都市、堺市、神戸市が入っていません。大きな府県の、とりわけ大きい強い権限を持った肝心の中心の行政組織が外れています。それをわざわざ総務省は発表しています。そして、広域連合議会においては、選出議員数が、大阪府が五人、兵庫県四人、京都府三人、そのほか四県は各二人となっており、大阪府の発言力が重くなっている感じがいなめません。新しく設置した関西広域連合委員会には、事務局を含む組織化がなされるわけであり、当然費用がついて回ることになります。広域連合委員会の組織図を見ると、荒井知事が言うように、しばらく静観することがよいのではないかと思われます。できるだけ荒井知事には踏ん張っていただいて、奈良県の独自性を失わぬよう、奈良県の元気のあるところを示されるよう、ぜひご尽力をいただきたいと願っています。 以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ○副議長(藤本昭広) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十二番田中惟允議員のご質問にお答えいたします。田中惟允議員のように見倣って、できるだけ元気にお答え申し上げたいと思いますが、精いっぱいさせていただきます。 農業の振興について、特に奈良県の農業はどのようにすればいいのか、基本方針をどのように考えるのかという点と、県の東部地域の振興、とりわけ農業の振興というのをどのように考えるのか、基本的なご質問でございました。 奈良県の農業の状況でございますが、産出額は約四百五十億円で、決して大きな規模ではございません。また、農業の主体者は小規模な農家が多いわけでございます。ですので、全体といたしまして、国の方針にありますカロリー自給率という観点からは寄与も少ないといった農業の実態でございます。しかし、方針といたしましては、小さくても元気な農業経営ということを目指していきたいというふうに思っております。そのためにマーケティング・コスト戦略という名前のものを標榜して、追求しております。マーケティングというのは売れる農産物を集中してつくっていこうと、売れる楽しみをできるだけ味わっていこうということでございます。コスト戦略というのは、生産手法に工夫をして、高齢者が多い担い手は楽をして、省力化をして、兼業農家らしく生産を上げていただくという志向のものでございます。 また、そのためにはブランド化や販路開拓などが必要でございますが、小規模でございますので、みずから行うことが難しいのが通常でございますので、そのような面については県が率先してさせていただくというような認識でございます。どのように進めるかについては、やはり品目を絞る必要があると思います。本県農業の実態から見て、今まで相当進んでおられるリーディング品目と、これから育てるチャレンジ品目というような種類を考えまして、リーディング品目といたしましては柿、茶、イチゴ、菊を選定したところでございます。将来の成長品目として育てていきたいと思っております品目として、大和野菜、ダリア、サクランボ、有機野菜を選定したわけでございます。品目と人を重点化して支援をする、また、意欲のある担い手と協定を結んでいくというようなことを考えておるものでございます。 こうした中で、宇陀市などの東部地域は、奈良県の農業の振興に大変適した地域だと思います。気象条件が冷涼でございますので、宇陀地域ならではのチャレンジ品目が可能でございます。まず、大和まな、完熟ホウレンソウなどの大和野菜でございますが、ブランド化がほとんど確立しつつある品目であろうかと思います。東京の奈良まほろば館などに展示をすれば、すぐに売れてしまうといったことでございます。ロットの確保が課題でございますので、意欲的な生産者のグループ化や、パイプハウスなどの導入を支援することによって、生産力の向上を図っていきたいと思います。地元の堆肥を利用した有機栽培ということで、さらに格を上げていけたらというふうに思います。また、大和まななどは、ジュースなどの加工商品ということにも最近手がついておる次第でございます。二つ目のダリアにつきましては、球根産地日本一でございますので、その地位をより強固にしていきたいと思います。切り花ダリアの周年栽培の確立や、PRイベントの開催などに、今後力を入れていきたいと思います。 馬見丘陵公園で行いました花と緑の博覧会では、ダリアということを大きなテーマ品種にいたしまして、名をはせたところでございますので、この勢いを持続するような活動をしていきたいと思います。また、新たな地域の特産物として、豆系のものを二つ考えておりまして、黒大豆枝豆や、宇陀大納言アズキでございます。このようなものも新しい新顔として育成していきたい。それと、栗、ブルーベリーなどの産地としても成長しつつあるわけでございます。このような地元での生産の試みがございますので、意欲が感じられますので、それを支援していきたいと思います。芸人と同じでございますが、マネジャーというものが要ると思いますので、コーディネーターを県から配置して、ロットの確保、生産能力の向上、販路の拡大など、ご支援申し上げたいと思っております。 奈良らしい農業振興の方針というテーマのご質問でございましたが、繰り返しになりますが、小規模でも元気な足腰の強い、田中惟允議員のような(笑声)農業生産を、ちょっとうまく言えましたか、のような奈良県の農業を目指していきたいと思う次第でございます。 私に対する質問は以上でございました。 ○副議長(藤本昭広) 冨岡農林部長。 ◎農林部長(冨岡義文) (登壇)十二番田中惟允議員のご質問にお答えいたします。 私に対して三点のご質問がございました。 まず第一点目は、有害鳥獣対策として、わな猟の規制要件の緩和、それから、狩猟意欲を高める方策、そして、柵の設置についての今後の取り組みについてでございます。 まず、わな猟の有害鳥獣捕獲の規制要件の緩和についてでございますが、現在、捕獲実施者の許可条件に必要な免許登録期間は五年以上となってございますが、農林業従事者みずからが自己の田畑等で、はこわなを使って有害鳥獣捕獲をする場合に限り、狩猟免許を取得したその年から実施できるように検討をしております。今後、県の自然環境保全審議会鳥獣部会での審議を経た後に、来年度からの実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、有害鳥獣の削減につきましては、適正生息数に誘導するために必要となります県ニホンジカ特定鳥獣保護管理計画をことし四月に改定をしたところでございます。その計画に近づけるため、今年度、メスジカの捕獲について、市町村補助制度、一頭当たり二千五百円でございますが、を創設し、現在市町村において実施をされているところでございます。さらに、今回の補正予算案において集落に出没するシカを少人数でより多く捕獲できます大型ネット、十八メートル四方から二十四メートル四方の規模でございますが、大型ネットを遠隔操作で落下させる新型捕獲装置の導入を予定しているところでございます。また、防護柵の設置についてでございますが、議員お述べのように、地域ぐるみで面的に取り組むことが重要であり、緩衝帯の整備によります隠れ場の除去や放任果樹の伐採など、有害鳥獣を寄せつけない環境づくりと、あわせて実施することが効果的であると考えてございます。 このため県におきましては、今後とも鳥獣害対策事業の実施主体となる地域協議会に参画し、地元の合意形成や具体の実施内容の策定支援を行いますとともに、国の交付金も積極的に活用しながら、防護柵の設置など、総合的な被害防止対策を推進してまいりたいと考えております。なお、有害鳥獣対策は、一挙に解決できない大きな問題と考えております。各農林振興事務所ごとに設置をしております鳥獣害対策地域本部におきまして、関係市町村等とも連携を図りながら、今後とも引き続き総合的かつ粘り強く取り組んでいきたいと考えてございます。 二点目は、林業の活性化に関してでございます。 ご質問の内容は、本県の森林を木材生産林と環境保全林に区分することになったが、今後それぞれの区分に対する施策はどうなのか、また、森林所有者に対してどのような制限があり、経営上どのような認識を持つ必要があるかでございました。議員お述べのように、奈良県森林づくり並びに林業及び木材産業振興条例及び同指針に基づきまして、県内の民有林を重視すべき機能等に応じまして、木材生産林と環境保全林に区分し、適切な整備及び保全を推進することとしております。 まず、木材生産林は、木材生産を目的とした森林施業を持続的に行う森林であります。県におきましては今後、作業道整備、機械化等によります低コストな集約化施業を推進していく予定をしております。その取り組みに意欲的な事業体等が木材生産を行う森林を第一種木材生産林と規定して、重点的な支援を予定しています。一方、第一種木材生産林以外の森林所有者みずからが木材生産を行う森林を第二種木材生産林として、既存事業等の活用による支援を予定してございます。これらによって木材生産の増加を図っていきたいと考えております。 次に、環境保全林は土砂流出の防止や水源の涵養、自然環境の保全などの公益的機能の発揮を目指す森林でございます。環境保全林の内訳でありますけれども、まず、施業放置解消林は、県が市町村、森林所有者との三者協定に基づきまして、施業制限を条件に強度間伐を実施し、施業放置の解消を図る森林でございます。また、里山整備・利用林及び立入利用・眺望活用林は、森林所有者等との協定に基づき、不要木竹の除去、下草やササ等の刈り払いなどを行い、散策など県民等による利活用を進める森林であります。さらに、法定伐採制限林及び現状維持林は、伐採等の行為を行わず、現状で維持する森林であります。 森林区分作業によりまして、森林のあるべき姿や果たすべき機能を、森林所有者みずからが認識し、適切な整備及び保全に努めていくことになりますが、このことは本条例におきましても所有者の責務として規定をしているところでございます。制限については、例えば施業放置解消林は、県が森林所有者にかわって強度間伐を実施する場合、森林所有者は一定期間、十年の施業制限を受けることになります。県といたしましては、本県の森林・林業の現状を少しでもよくしたいと、そういう思いからこの取り組みを進めていきたいと考えております。 三点目は、売れる材木を生産するため、県として県内木材製材業界に対しどのような方針で施策を展開するのかでございます。 近年、消費者ニーズの変化によりまして、木造住宅の建築方式は、柱の見える真壁工法から、柱が見えない大壁工法中心に変化し、また、工法も部材をあらかじめ工場で加工する、いわゆるプレカット工法が中心になっております。このため、見ばえより、割れや狂いが少ない安定した品質の木材で、価格の安いものが求められております。このようなことから、木材業界は、国内外との厳しい産地間競争を強いられており、その振興を図るためには利用促進対策が不可欠であると考えております。 県におきましては、業界と連携をして、県産材で強度と乾燥度合いなどの品質が認証されました構造材を奈良県地域認証材として認証する制度を立ち上げ、平成二十年度より、その普及啓発と認証材を使用した新築住宅建築に支援を実施しております。さらに、今年度は、国の住宅版エコポイント制度の利用にあわせまして、県産材利用による補助を地域商品券で上乗せする形で、県独自の助成制度を実施しているところであります。また、吉野材の用途や販路の開拓を図るため、今年度新たに吉野材ブランド再発信事業としまして、家具などの暮らしの道具デザインコンペを実施し、今までにない新たな製品開発や首都圏等の大消費地におけるマーケット開拓に取り組みを試行しているところでございます。今後は、国内でのフローリング材等の内装材の需要開拓に努めますとともに、さらには、海外における木材流通や利用実態等の情報収集を行うなど、新たなマーケット戦略の研究にも取り組んでいきたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 影山地域振興部長。 ◎地域振興部長(影山清) (登壇)十二番田中惟允議員のご質問にお答えいたします。 私には、新過疎計画による過疎地域での取り組みについて、県は新過疎計画を策定中であるが、過疎地域に対しどのような支援や協力を行っていくのかとのご質問でございます。 過疎地域自立促進特別措置法の延長を受けまして、県では本年九月に自立促進方針を策定いたしました。この方針では、過疎地域の高齢化に対応し、人口減少を食いとめるため、一つ目に、高齢者福祉への支援、二つ目に、雇用の場の創出、三つ目に、林業等地域産業の振興、四つ目に、集落の維持・活性化、以上の四つの柱を立てたところでございます。この自立促進方針に基づき、過疎市町村では、おのおのの過疎計画を策定され、過疎債の申請を含め、具体的な事業実施に向け動き出したところでございます。県におきましても、現在この方針に基づき、全庁的に過疎対策に取り組むための計画を策定中であります。県計画と市町村計画が両輪となって共同で過疎対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。 特に策定中の県過疎計画では、過疎地域だけでなく、過疎地域に近接する地域も対象とすることといたしました。雇用の創出や安全・安心の確保等、過疎地域の活性化を牽引する事業や広域的に実施する必要がある事業も視野に入れていくこととしたところでございます。今後とも県といたしましては、市町村と緊密に連携をとり、市町村事業の推進を支援するとともに、県事業を着実に実施してまいる所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 冨岡教育長。 ◎教育長(冨岡將人) (登壇)十二番田中惟允議員にお答えいたします。 私には三点です。 まず一点目は、うだ・アニマルパークについて、命の教育の場としてどのような取り組みを行うのかのご質問でございます。 今日、子どもたちがみずからの命を絶つことや、他者の体を傷つけたりする事件がある中、自他の生命の尊重などを学習する道徳の時間や、動植物の飼育を通して命あるものを大切にする学習や体験を積む生活科の時間、また、総合的な学習の時間において命の大切さを体得させる取り組みは重要であると考えております。 このことから、県教育委員会では、各市町村教育委員会及び各学校への情報連絡や、校長会等を通じて、定期的に、うだ・アニマルパークの活用を促しているところですが、小学校での活用の仕方としては、生活科の授業や特別活動での活用が多く見られることから、今月中には、総合的な学習の時間の活用で命を大切にする教育を実践する場として、うだ・アニマルパークの活用を促す通知を市町村教育委員会に行う予定でございます。また、来年度には、命の大切さを考えさせる道徳の授業などに活用できる教材として、うだ・アニマルパークを取り上げた郷土資料を作成するとともに、授業での活用例もあわせて示すこととしております。さらに、命の教育を実践する教員の指導力を高めることが大切であることから、県小学校教科等研究会の研修会をはじめとする教員研修会をうだ・アニマルパークで実施する予定としております。今後、県教育委員会としましても、うだ・アニマルパークの多様な活用方法を積極的に検討し、命の大切さについて学ぶ教育の充実に努めてまいりたいと考えております。 二点目は、教育問題のうち、県立高校三年生の就職内定状況はどうか、また、教育委員会として各学校にどのような支援を行っているのかのお尋ねでございます。 県教育委員会では、近年の高校生の就職状況の悪化に伴い、昨年度から十月以降毎月、県立高等学校の新卒者就職内定状況の把握に努めております。本年度の県立高等学校の就職内定率は、直近の十一月末現在、前年度比五・九ポイント減の六七・五%にとどまっているところでございます。このことから県教育委員会では、特に就職に課題を抱える県立高等学校五校に対し、進路担当教員の事務補助として、就職サポーターを本年度も継続して配置しております。この五校の十一月末現在の就職内定率の平均は、県立高等学校全体では、前年度比五・九ポイント減であるのに対し三・一ポイント減にとどまっており、全国的に厳しい就職環境の中で、一定の成果が上がっているものと考えております。また、就職未内定者が在籍する学校に対し、県中小企業支援センターと連携して、企業合同就職説明会を十月と十一月に開催いたしました。十月の説明会では、十九社の企業、百七十三名の生徒が参加し、このうち二十四名が内定を得ているところでございます。十一月の説明会では、十四社の企業、八十八名の生徒が参加し、試験結果は十二月下旬に出る予定でございます。さらに、就職環境の厳しさから、本年度は初めて一月にも同説明会を追加実施することとしております。さらに、今議会において就職未内定者と個別に就職活動の相談等を行う就職支援員二名の予算化をお願いしているところでございます。 今後、知事部局の総務課、雇用労政課、地域づくり支援課と連携して設置いたしました新卒者就職支援会議を一月にも開催し、奈良労働局や学校関係者との連携をより一層強化して、高校生の就職を支援してまいる所存でございます。 三点目は、同じ教育問題の中で、県内における家庭内暴力等事件の実態を踏まえ、学校教育及び家庭教育において不足していることは何か、今後いかに進めるか、教育理念やビジョンについて述べよのお尋ねでございます。 平成二十一年度版犯罪白書によりますと、少年による家庭内暴力の認知件数は増加傾向を示しており、本県においても平成十八年度に起きた少年による自宅への放火殺人や、平成二十年のおのによる父親殺害など、子が親を殺傷する事件が起こっております。これらの事象では、成績や進路に対するプレッシャーや親子の対話不足による不信感などが少年を凶行へ駆り立てる一員となったのではないかと言われているところでございます。 私はかねてより、愛を基盤として、知力、体力、忍耐力を身につけて、正々堂々と生きる子どもを育てることをスローガンに掲げております。それは、学校はもとより、家庭や地域へのメッセージとしても伝えたく、子どもの居場所である学校、家庭、地域が共同して子どもたちを育成していきたいと考えてきたからでございます。子どもたちが愛されている安心感のもと、知力、体力、忍耐力をバランスよくはぐくむことこそ、自立した社会人として生き抜くために、何よりも重要と考えており、先ほどの事象では、愛の基盤が弱く、これらの力のどこかに偏りがあったのではないかとも考えております。改めて、学校、家庭、地域において、愛を基盤として子どもの知力、体力、忍耐力をバランスよく育てることは大切であると感じているところでございます。 教育は、社会の要請にこたえるすぐれた人材育成という大きな使命を担っていることから、県教育委員会では、学校教育の中だけにとどまることなく、地域の力をおかりする学校支援地域本部事業のほか、おはよう・おやすみ・おてつだい約束運動、見直そう!家庭と学校協働プロジェクトなど、家庭や地域と学校とが協働して取り組むさまざまな施策を講じてきており、課題に対しては、スローガンに従い、より具体的で効果的な対応をこれからも心がけてまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 上田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(上田喜史) (登壇)十二番田中惟允議員の私に対する質問は、宇陀地域における宇陀川流域下水道の宇陀市への移管について、合併市における移管の全国状況と県の取り組みについての質問でございます。 宇陀川流域下水道については、宇陀郡の三町一村が合併いたしまして新しく宇陀市になったことにより、現行の下水道法及び合併特例法の規定では、平成二十八年度に県から宇陀市に移管され、市の公共下水道として維持管理されることとなっております。合併により移管が生じる本県以外の七府県の状況につきましては、合併特例期間満了後に、合併市に公共下水道として移管するということで進めているのが五団体、栃木県、新潟県、静岡県、京都府、香川県、同一流域における処理区を統合することによって移管が必要でなくなったのが一団体、群馬県でございます。本県と同様に検討中であるのが一団体、福島県ということの状況でございます。 本県における取り組みにつきましては、法改正を経て、県が運営管理をしていくということを基本方針といたしまして、下水道法の改正を国に強く要望しているところでございます。一方、社団法人日本下水道協会において、同じような懸念から提言が出されておりまして、合併特例期間満了後においても引き続き流域下水道として県が運営できるようになること、もしくは新たな交付金制度の創設、または合併市町村における補助対象範囲の特例期間の延長ということが提言されているところでございます。現在、宇陀市との間で検討会を設けておりまして、今後、国の動向や他府県の先行事例などの情報収集に努めながら、宇陀川流域下水道管理のあり方について、宇陀市と鋭意検討を進めていきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 宮谷景観・環境局長。 ◎景観・環境局長(宮谷太) (登壇)十二番田中惟允議員のご質問にお答えいたします。 私には、宇陀地域における諸課題のうち、閉鎖産業廃棄物最終処分場についてのご質問でございます。 宇陀市にあります平成十四年に埋め立てを終了しました産業廃棄物最終処分場は、二つの事業者により維持管理がなされてきましたが、そのうちの一つの事業者が平成二十年十二月に民事再生手続を開始しました。残りの一事業者につきましても、平成二十一年四月に破産手続開始の状況に陥ったとの情報を得ました。今のところ、事業者と県との交渉によりまして、民事再生中の事業者が維持管理を継続しております。しかし、事業者が維持管理を放棄した場合、周辺の生活環境に影響を与えることが見込まれます。一日たりとも維持管理をとめるわけにはいきませんので、県としては、代執行も視野に入れながら、現状を把握し、その対応策を検討しております。 現在、水質や廃棄物、法律の専門家や地元宇陀市も交えました最終処分場緊急特別対策検討委員会を立ち上げまして、測量やボーリング調査などの準備を行っているところでございます。今後につきましては、水質検査の結果や測量やボーリング調査などの結果も踏まえまして、委員会からもご意見をいただきながら対策を検討していきます。なお、本年二月に地元の要望に沿いまして、周辺の井戸水などの水質検査を実施いたしました。問題のない結果でございましたが、引き続き、説明会を開催するなど、地元住民の不安解消に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(藤本昭広) 川崎土木部長。 ◎土木部長(川崎茂信) (登壇)十二番田中惟允議員のご質問にお答えしたいと思います。 私には、名阪国道針インターチェンジの道の駅において、ドライバー向け観光情報の発信に取り組まれているが、県東部地域への波及効果及び今後の取り組みについてのお尋ねがございました。 県東部地域には、豊かな観光資源があり、これらを活用して地域の活性化を図るため、県では平成二十一年度より、ドライバー向けの観光情報発信の充実に取り組んできたところであります。具体的には、宇陀地域をモデルケースといたしまして、地域が取り組む観光振興策との連携を図りながら、ドライブ観光を促進する効果的な情報提供を進めるため、名阪国道の道の駅・針テラスを情報発信の拠点といたしまして、季節に応じた周遊ドライブマップの提供やポスターの掲載などを行うとともに、宇陀地域の道の駅であります宇陀路・大宇陀などとも連携いたしまして、情報の発信を行っているところでございます。例えば、今年の桜のシーズンには、少なくとも約千七百人の方がクーポンつきのドライブマップを持たれて宇陀に来訪されており、そのうち約二割の方が初めての来訪であり、また、四割の方が予定していなかった周遊観光地へ立ち寄ったなどとなっており、新たな周遊観光の動機づけになることが確認されているところでございます。 これらの取り組みにつきましては、PDCAサイクルによる評価改善型で行うことで、より効果的な情報発信手法に高めていくとともに、今後は中南和・東部地域へ広く展開されるよう、現在策定中の奈良県交通基本戦略においても位置づけた上で取り組んでまいりたいと考えているところであります。 以上であります。 ○副議長(藤本昭広) 十二番田中惟允議員。 ◆十二番(田中惟允) あと時間もありません。予定外のことを少し言わせていただきます。 きょうの県立医科大学の移転に絡んで、私は農業を重要視すべきというふうに申し上げております。あそこの農業総合センターの面積が減るんだったら、どうぞ宇陀に広いところがたくさんありますので、農業総合センターを宇陀市でもご検討いただきたい、宇陀市のほうの方が既に、来ていただくようにぜひとも知事にお願いしろというふうなことを申しておられる方がおいででございますので、そのことだけ申し添えておきます。 以上です。 ○副議長(藤本昭広) これをもって当局に対する一般質問を終わります。   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、本日、知事から議案四件が提出されました。 議案送付文の写し並びに議案をお手元に配布しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- △財第百六十一号  平成二十二年十二月九日  奈良県議会議長 出口武男殿                             奈良県知事 荒井正吾     議案の提出について 議第八一号 平成二十二年度奈良県一般会計補正予算(第三号) 以上のとおり提出します。   -------------------------------- △財第百六十二号  平成二十二年十二月九日  奈良県議会議長 出口武男殿                             奈良県知事 荒井正吾     議案の提出について 議第八二号 教育委員会の委員の任命について 議第八三号 公安委員会の委員の任命について 議第八四号 土地利用審査会の委員の任命について 以上のとおり提出します。   -------------------------------- △議第八十二号      教育委員会の委員の任命について 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第四条第一項の規定により、下記の者を委員に任命したいので、その同意を求める。 平成二十二年十二月九日提出                             奈良県知事 荒井正吾                    記  花山院弘匡  昭和三十七年九月七日生  奈良市春日野町一六〇   -------------------------------- △議第八十三号      公安委員会の委員の任命について 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第三十九条第一項の規定により、下記の者を委員に任命したいので、その同意を求める。 平成二十二年十二月九日提出                             奈良県知事 荒井正吾                    記  岡本好央   -------------------------------- △議第八十四号      土地利用審査会の委員の任命について 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第三十九条第四項の規定により、下記の者を委員に任命したいので、その同意を求める。 平成二十二年十二月九日提出                             奈良県知事 荒井正吾                    記  井岡みや子  今井範子  川村容子  北野享司  倉田智史  坂西明子  古野博史   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、議第八十一号から議第八十四号を一括議題とします。 知事に追加提出議案の提案理由の説明を求めます。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)ただいま提出しました議第八十一号は、平成二十二年度一般会計の補正予算案であります。 このたび、国の緊急総合経済対策にかかる補正予算が成立したことを受け、本県といたしましても、これを積極的に活用して、県政諸課題に対応することとし、四十三億六千六百万円余を追加計上いたしました。 以下、その主なものについて説明します。 まず、観光の振興を図るため、旅行専門誌による中南和地域の観光情報の発信、法隆寺iセンターの観光情報発信機能の充実、点字観光ガイドブックの作成等を行います。 また、地域における花いっぱい運動への支援、河川及び道路環境の整備・改善、自転車道の整備、バス停付近のベンチ設置など、潤いとやすらぎのある、くらしやすいまちづくりを推進いたします。 社会基盤の整備としては、地域間連携や渋滞緩和のための道路・街路の整備、交通安全施設の充実、橋りょう補修等を進めるとともに、災害の未然防止のための河川改修、砂防事業、急傾斜地崩壊対策の推進、奈良公園施設の整備等を図ることといたしました。 また、農林業生産基盤の整備促進や、有害獣捕獲装置の導入支援など、農林業の振興にも努めてまいります。 このほか、総合リハビリテーションセンターにおけるアメニティの向上、橿原公苑野球場の設備改修、うだ・アニマルパークのふれあい体験施設の充実、文化施設の視聴環境の整備、女性センターの施設整備など、県民にご利用いただく施設の充実に取り組むとともに、緊急雇用創出事業臨時特例基金の積み増し等を行います。 以上が今回の補正予算案の概要ですが、現段階で国の補正予算の内容が明確でないものの活用については、次の定例県議会での追加提出を予定しております。 また、議第八十二号から議第八十四号の三議案は、教育委員会、公安委員会、土地利用審査会の、それぞれの委員の任命についての議案です。 どうぞ慎重にご審議のうえ、よろしくご議決いただきますよう、お願いいたします。   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、議第六十八号から議第七十号、議第七十三号から議第八十一号、及び報第二十七号、報第二十八号を一括議題とします。 以上の議案十四件については、調査並びに審査の必要がありますので、お手元に配布しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託します。   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 次に、請願二件、陳情三件を上程します。 お手元に配布しております文書でご承知願います。 なお、請願は、調査並びに審査の必要があると認めますので、所管の常任委員会に付託します。   -------------------------------- (厚生委員会) △請願第九号      「野外での学校教育活動の保障」に関する請願書               請願者 奈良県宇陀市榛原区萩原一七四九                   奈良県立野外活動センターの存続を願う会                    代表 野田晴彦               紹介議員 新谷紘一                     小林茂樹                     岩城 明                     宮本次郎《要旨》 ①奈良県立野外活動センターは社会教育、生涯を通した幅広い学習のみならず、学校教育における自然体験活動・集団宿泊活動等の教育活動の受け皿として、その役割を担ってきました。利用の主な対象は「学校」団体であり、学校教育に求められている校外での自然体験活動の場として、小・中学校に通う全ての子ども達が個々の環境に関わらず、自然と触れ合い集団活動の大切さを学んできました。 ところが、当センターについて県が示した来年度以降の方針案の影響により、小・中学校団体の利用予定が従来より大幅に減少しています。 (当センター利用の学校団体例年約九十校に対し、平成二十三年度当センターの利用申込は十月末締切の時点で約五十校)この現状は、県が示した来年度以降の方針案が、学校に十分に周知されていないことを意味し、学校教育の受け皿を用意したと言うには不足しております。奈良県教育委員会の指針には「豊かな人間性の育成」がうたわれており、過去三回開催された野外活動センターのあり方検討委員会ではその指針に十分答え、高い教育効果が得られるとの意見があります。 以上を踏まえ、従来利用されていた学校は勿論、広く県下の学校団体等が利用できるよう、県民・教育現場のニーズを把握して頂き、そのニーズに合った施設の形態になるよう整備・運営計画を進めて頂くよう要望いたします。そして、初めて野外で活動する子ども達の様々な実態を考慮して頂き、安全かつ円滑に自然体験、集団宿泊学習が進められるよう県として野外での学校教育を保障し、その姿勢を示して下さるようお願いいたします。 ②当センターの指導内容やスタッフの質の高さといったソフト面は、利用者にとって魅力の一つとなっているだけでなく、従来より青少年リーダーの育成にも大きく貢献しており、長年に培われた財産です。 施設運営に際しては、実際に必要とされる作業や労力を正確に把握した上で、現場での団体対応や施設整備に支障のないような指導スタッフの人数・質を確保していただき、魅力ある指導内容やプログラムの充実を継続していただけるよう要望いたします。 また、地域社会の教育力・野外活動教育の指導力向上や青少年リーダーの育成の一端を担ってきた経緯を踏まえ、今後も当センターのフィールドを研修の場として、その役割を発揮できるような環境を整えていただくことを要望いたします。そうして、教育的役割を継続して果たしていける施設として、有意義な運営を考えていただきたいと切に願います。   -------------------------------- (総務警察委員会) △請願第十号      大安寺西地区へのパチンコ店出店計画に対するコンプライアンスの適正運用と同店操業による交通危険の排除と是正に関する請願書            請願者 奈良市恋の窪二丁目六番八号                大安寺西地区自治連合会                 会長 梅林聰介                奈良市大安寺町五六七番地の五                大安寺西地区社会福祉協議会                 会長 中井弘司            紹介議員 梶川虔二                 山村幸穂《要旨》 本年六月定例奈良市議会でも取り上げられた「大安寺西地区パチンコ店出店計画」に対する仲川市長の答弁は、官僚答弁そのものと言わざるを得ません。「奈良県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する条例」の趣旨を踏まえ同法の運用則を含めて適正に判断するならば、前述の答弁には誤りがあると確信します。 事業主は、法に則り開発行為等を始めていますが、手続き上問題が無いというだけです。私たち住民が今回の事業計画に違和感を覚え、その内容を記した檄文に対し三千八百名の署名をいただき、奈良市長宛に提出いたしました。この署名には同地域住民のみならず同地域に就業されている方も含まれています。 古都奈良の環境保全を目指し、「JR奈良駅前パチンコ店」出店阻止に対する奈良市の活躍は、まだ記憶に新しいものがあります。結果は残念なものとなりましたが、多くの市民が賛同していました。 昨年末より「まちづくり市民会議」が行われ、活発な議論のもと、新しい行動計画が策定されているようですが、「まちづくり」は今この時点でも奈良県のあちこちで行われています。 現在、当大安寺西地区においても、奈良県地域デザイン推進課、地元病院・企業、地域が一体となり「佐保川を活かしたまちづくりを考える懇談会」等、子どもの思いである里づくりや、子どもからお年寄りまですべての住民が安全で安心して暮らせる地域にするため、奈良市からも助成金を受け大安寺西地区自主防災防犯会を中心に多くの住民参加のもとで活動をしています。 当大安寺西地区においてパチンコ店出店計画が着々と進められていますが、私たちはこの計画に対し下記の点で疑義を感じており、これらが解消されない限り、断固としてパチンコ店の出店には反対です。よって、出店企業はもとより、許認可する行政がコンプライアンスの適正運用を守らなければ出店の中止を求め、同店操業による交通危険の排除と是正に的確に対応されることを強く要求するものです。                    記 一.事業計画で駐車場別運営を認めた根拠が明らかでない。 二.風俗法運用則で「七〇%以下の使用は専用施設にあたらない」とする使用制限の担保を市側はどうとるのか。 または、業者にどうとらせるのか。 三.以前より交通危険が予測されていた同地踏切西側の合流地点の対策をどうするのか。 四.一に挙げた駐車場の交通誘導は駐車場単独契約か。 五.パチンコ店の契約または指導があれば一体経営となり、風俗法に抵触するのではないか。 六.パチンコ店の駐車場契約が周辺地域の同種の契約と比較して妥当なものであるかを検証しているのか。 七.パチンコ店の駐車場の契約金額が周辺地域と比較して高額であれば、利益供与に当たるのではないか。(一体運用の隠れ蓑) 八.コンプライアンスの適正運用を守らなければ出店の中止にならないのか。 上記請願いたします。   -------------------------------- (厚生委員会) △陳情第四十六号      「B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書」の提出を求める陳情書               陳情者 奈良県奈良市法蓮町一五七-六                   ティコープ法蓮町二一八                    辰巳創史《陳情の要旨》陳情の趣旨・目的 奈良県議会において、B型肝炎訴訟の早期全面解決に関し、以下の事項を内容とする意見書を、衆参両議院ならびに政府に対し提出願いたい。                    記     B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書(案)第一 意見の趣旨 国は、B型肝炎訴訟において、集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者全員に対して謝罪するとともに、被害者全員を速やかに救済すること。第二 意見の理由 B型肝炎訴訟は、国が法律により強制した集団予防接種での注射器の使い回しによって、多くの人々にB型肝炎ウイルス感染被害が生じたことについて国の責任を明らかにすることを求める裁判である。 この問題については、平成十八年六月に、最高裁判所が集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスの感染被害を出したことについて国に法的責任があることを明白に認めた。また、平成二十一年十二月に成立した肝炎対策基本法においても、その旨が明文で規定され、国の責任はより一層明確になっている。 このような状況の中、集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者全員の救済を求めた訴訟が、全国十地方裁判所で係争中であるが、札幌、福岡両地裁が相次いで和解勧告を行い、また大阪地裁も和解による解決を促している。しかしながら、国は和解協議には応じながらも、被害者全員の救済に向けて誠意ある対応をとっておらず、解決の引き延ばしを図っている。 B型肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝がんに移行する病気であり、あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気であり、解決を待たずに亡くなった原告はすでに十名を超え、解決まで一刻の猶予も許されない。 よって、奈良県議会は、国において、早急に集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者全員に対して謝罪し、被害者全員を速やかに救済するように強く要請する。陳情の理由 我が国には、ウイルス性肝炎患者・キャリアは三百万人を超え、この内B型肝炎患者がおよそ百二十万から百四十万人もいるといわれている。ウイルス性肝炎はまさに国民病であり、本県でも多くの患者とその家族が苦しんでいます。しかも、その感染原因大半が、全国民・住民が幼少時に法律によって強制的にうけさせられた集団予防接種における注射器の針・筒の不交換、あるいは輸血、血液製剤の投与、などの不潔な医療行為による感染、すなわち医原性によるものと言われています。 このうち、集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者が、国を被告として損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決が平成十八年六月十六日に言い渡され、この判決では国の法的責任が確定しました。さらに、平成二十一年十二月に成立した肝炎対策基本法においても、その旨が明文で規定され、国の責任はより一層明確になっています。しかしながら、国は迅速に被害者全員を救済するための施策を採ることを怠り、被害者を放置しました。 このような状況の中、集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者全員の救済を求めた訴訟が、全国十地方裁判所で提起され、現在、札幌、福岡両地裁が相次いで和解勧告を行い、また大阪地裁も和解による解決を促し、国は和解協議を始めることには応じました。しかしながら、国は協議の中で被害者全員の救済に向けて誠意ある対応をとっておらず、解決の引き延ばしを図っています。 B型肝炎は、慢性肝炎から肝硬変、肝がんに移行する病気であり、あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症するという極めて深刻な病気であり、解決を待たずに亡くなった原告はすでに十名を超えており、解決まで一刻の猶予も許されません。このような事態に鑑みれば、政府は、早急に和解協議の中で被害者全員を救済する和解案を提示すべきです。このことが国民の総意であることは、各地の地方議会で意見書が採択されていること(資料一 北海道議会意見書、福岡市議会意見書)、全国五大紙を含む多くの新聞社からの社説からも明かです(資料二・B型肝炎訴訟に関する各新聞社の社説)。 以上のことから、貴議会において、集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者全員の救済のため、意見書文面案に基づく意見書を採択していただき、地方自治法第九十九条の規定により衆参両議院ならびに政府に対し意見書を提出するよう陳情します。                                 以上   -------------------------------- (総務警察委員会・厚生委員会・経済労働委員会・建設委員会・文教委員会) △陳情第四十七号      性的少数者が普通に暮らせる社会環境の整備を求める陳情書               陳情者 奈良県奈良市大安寺三丁目九-一四-二〇二                   性と生を考える会                    代表 中田ひとみ《陳情の要旨》陳情の趣旨・目的 貴議会におかれましては、住民の生活向上のためご尽力いただき心より感謝申し上げます。 私たち「性と生を考える会」は、二〇〇〇年から奈良県を中心に、性的少数者の人権にかかわる活動をしています。多数者である「男性」「女性」とは違う性を生きる「性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)」といわれる人たちは、もちろん奈良県内各地域にも多く生活しています。 多くの人が異性に対して感じるのと同じように、同性に対して恋愛感情や性的欲望を感じる人たち(同性愛者)は、古くから時代や地域を問わず存在しています。また、学校を中心に、限定的ではありますが、身体の性別と心の性別とに違和感をもつ人たち(トランスジェンダー、性同一性障害含む)への取り組みが始まっています。出生時に身体の性別が男性か女性のどちらかに判別しづらい人たち(性分化疾患/インターセックス)の存在も、徐々に知られるようになってきました。 しかし、多くの人々の意識、教育、社会の制度やしくみは、異性愛者であること、男性か女性のどちらかであることを前提としています。二〇〇四年「性同一障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」施行以降も実際に性別変更できたのは一部の人であり、今も、外見と身体・戸籍の性別が異なる状態で生活している人がたくさんいます。また同性愛者への理解・法的整備は、諸外国に比べ、著しく遅れています。婚姻関係にない同性パートナーは各種手当てや控除の対象とならず、一緒に住む住宅を探すことも困難であり、病気・入院時や死亡時にも家族扱いとされていません。 多くの性的少数者当事者は、今もさまざまな生活上の困難を抱えて暮らしています。多くの当事者は、自分を肯定することが難しいと感じており、自分がそうであることを言えずに生活しています。周囲の無理解や日常的なストレスの結果、学校におけるいじめ・不登校、年代を問わず自殺念慮や心身の健康を悪くしている現状が、いくつもの調査によって明らかになっています。 貴議会におかれましては、誰もが性別や性的指向(愛情や性的欲望の方向性)にかかわらず、差別を受けることなく、個人や生き方が尊重される社会の実現のために、下記の内容について所要の措置を実施されることを要望いたします。 一.性別・性的指向、性的少数者への視点を人権課題として位置づけ、施策を見直すこと 二.性別記載欄の存在する証明書や申請書の性別記載の再考と可能な限りの削除。または記号等の形式への変更(身体・外見や心、戸籍上の性別が一致していない人たちへの配慮) 三.多様な家族形態に沿った住宅確保の推進(ハウスシェアリング制度の導入等) 四.公務員の家族に対する法的保護・社会保障制度の同性カップルへの適用 五.公的施設・学校施設において、性別にこだわらずに使用できるトイレ等(例:多機能トイレ、トイレの個室化)設備の改善 六.学校における性的少数者・多様な性のありようを含む性教育の充実 七.自治体職員、教育関係者、医療従事者などに対する研修 八.性的少数者に対する偏見・差別解消のための人権教育・啓発の推進 九.性・性的指向に関する相談・権利擁護体制の充実 十.就職差別、不当解雇、職場差別などの禁止と職場環境・施設改善のための啓発 十一.DV被害者支援において、性的少数者である被害者の存在を想定した対策   -------------------------------- (厚生委員会) △陳情第四十八号      保育制度改革に関する意見書提出を求める陳情書               陳情者 奈良市杉ヶ町一一番地                   奈良県保育運動連絡協議会                    会長 新 拓治《陳情の要旨》陳情の趣旨 政府関係者に対して ① 児童福祉施設最低基準は、憲法第二十五条に基づく子どもの生存権保障で有り、国として責任を持つこと ② 児童福祉法第二十四条に基づく市町村の保育実施責任を堅持すること ③ どの地域の子どもも健全に育成されるよう、国として自治体の財政保障を行うこと ④ 民間保育所運営費の一般財源化は行わないこと を内容とする意見書を提出してください。理由 急激な少子化の進行のもとで、次世代育成支援に対する国と自治体の責任はこれまでにも増して大きくなっており、なかでも保育所は仕事と子育ての両立を支えるだけでなく、子育て支援の拠点としても大きな役割をになっています。 しかし現在、国において検討されている新たな制度「子ども・子育て新システム」は、保育のサービス産業化や直接契約・直接補助方式の導入など、介護保険制度をモデルにしており、国の責任を市町村に委ねるだけでなく市町村の保育実施責任を大幅に後退させるもので、保育の地域格差が拡がるだけでなく、家庭の経済状況により子どもが受ける保育のレベルにも格差が生じることになりかねません。 あわせて、それぞれ成り立ちも運営形態も異なる幼稚園と保育所を一体化することにたいして拙速な結論を出すことは、社会に大きな混乱を引き起こします。 いま必要なことは、「子ども・子育て新システム」の拙速な法制化ではなく、現行保育制度に基づき、国と自治体の責任で保育・子育て支援を拡充し、充分な財源を確保することなど、すべての子どもに質の高い保育を保障するための制度の拡充です。 つきましては、貴議会より上記「陳情の趣旨」を内容とする意見書を、政府関係機関に対して提出していただきたく、以上の理由を述べて陳情いたします。   -------------------------------- ○副議長(藤本昭広) 六番尾崎充典議員。 ◆六番(尾崎充典) 各常任委員会開催のため、明、十二月十日から十三日まで本会議を開かず、十二月十四日会議を再開することとして、本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(藤本昭広) お諮りします。 六番尾崎充典議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、次回、十二月十四日の日程は、各常任委員長報告と同採決とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時三分散会...